2024年6月4日火曜日

ジェイムズ・P・ホーガン「未来の二つの顔」(1979)

ジェイムズ・P・ホーガン「未来の二つの顔」(1979)山高昭訳の1983年創元推理文庫版で読む。
THE TWO FACES OF TOMORROW by James Patrick Hogan 1979
ホーガンは読書好きの間で「星を継ぐもの」ばかり読まれている。それ以外はあまり話に登ることがない。この「未来の二つの顔」もそう。たぶん、この文庫版が出て以来、いちども新装版とか出ていない。(星野之宣によるコミック版は以前に古本で見かけたことがあったが買わなかった)
実は自分はこの本を高校生の時読んだ。内容をまるで覚えていないのだが、面白かった記憶はある。

自分の人生において、過去2回ぐらい引っ越しに伴う蔵書大量処分期というものがあって、そのときにこの文庫初代を失った。今回手に入れたものがかなり状態が悪い。新装版が出たら買うつもり。そのときはこの加藤直之イラスト表紙にしてほしい。高校生の時、この表紙がかっこよくて飾って眺めていた。

人工知能コンピューターによる月面土木工事現場での事故が開発班主任ダイア―博士他を不安にさせる。
そしてどういうわけか、小惑星ヤヌス(民間人も多数居住するドーナツ型スペースコロニー)の主幹システム・スパルタカスを使って、機能破壊と挑発によるストレス付加の末に、主電源を切断できるかどうかの壮大な判定テスト。

この本は半分を過ぎたあたりから面白い。AI vs. 人間。当初コンピューター側は迂回して電源を確保して機能を保つのだが、やがて外部から侵入してきた人間たち(軍隊も投入)を全力で排除してくる。

たちまち対抗策を見出してくる。ドローンを使って攻撃してくる。そしてほぼ暴走。制御不能。軍隊がほぼ壊滅。データを採るためとはいえ、こんな実験するんじゃなかった。
あと、軍事作戦の現場に自分勝手な行動をする素人女を連れてくるな!という教訓。

戦闘アクションシーンと巨大構造物を正しくイメージすることは難しい。たぶん、宮崎駿ぐらいの天才でないと面白く描けない。

人工知能技術が発展した先、人類はどのような未来を迎えるのか?安心したくてしたやらないでもいい実験が大惨事。COVID19と中国政府のことも連想した。
しかし、ホーガンの描いた結末はわりと楽観的。人類が宇宙に飛び出していくには人工知能が必要。

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