2024年6月1日土曜日

シェイクスピア「リチャード二世」

松岡和子訳のちくま文庫シェイクスピア全集26「リチャード二世」(2015)を読む。
英国史のお勉強のためにシェイクスピアの戯曲を読むのがいいことなのかはわからないけど、読んでみる。たぶん英国人はそうやって英国歴代国王を学んでいるだろうから。

自分の英国知識ではリチャード二世(在1377-1399)はプランタジネット朝エドワード三世の長男エドワード黒太子の長子で、ランカスター公ヘンリー・ボリングブルック(後のヘンリー四世)に王位を簒奪され哀れな最期を迎えた王。

ウィンザー城の国王リチャード二世の前で、王の叔父ジョン・オブ・ゴーントの息子ハーフォード公ボリングブルックと、ノーフォーク公トマス・モーブレーの双方が互いに王への反逆罪を告発し合う丁々発止の口論で劇は始まる。
王とゴーントの仲裁もむなしくコヴェントリーでの馬上槍試合での決闘。
負けて死んだ者が謀反人となるところだが、国王リチャードは両者を追放することで命を救う。

アイルランドの叛乱のために国王は遠征。しかし戦費がない。そこで亡くなったゴーントの財産をアテにする。それは諸侯たちもざわつく。
追放されていたハーフォード公ボリングブルックはランカスター公の財産を相続するべくレイヴンスパー上陸。ノーサンバランド伯も合流。
ヨーク公がやってくる。追放されたのに許可なく上陸するなんて反逆!とボリングブルックをいさめるのだが、ヨーク公には特に力があるわけでもない。なので中立。

ブリストル城の王の側近たちはボリングブルックに捕えられ処刑。諸侯たちはボリングブルックの元へ走る。しかし王はウェールズ・フリント城でボリングブルックと対峙。
このときのボリングブルックの王への要求の言いようが脅迫だし普通に反逆者。要求が通らなければイングランド人を殺す!

国王リチャード二世の投降と譲位ってこんな感じだったのか。英国人たちはこの王位継承をどう思っているのか?こんなん王位簒奪だ。
グロスター公殺害をめぐる証人たちの罵り合い。すぐ決闘の申し込み。
そして王はロンドン塔へ送られるのだが、その道中の人々の変節ぶりが酷い。別れを告げられる王妃の嘆き。

そしてヨーク公の息子オーマールの陰謀加担とその告白。父と子、公爵夫人、そして新国王の修羅場。そこに届く首。リチャードの棺。混乱の極み。

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