西村京太郎の長編トラベルミステリー「松本美ヶ原殺意の旅」(2002 実業之日本社JOY NOVELS)を読む。2001年に週刊小説に連載されたものを単行本化。
自分、自ら好んで西村京太郎を読もうと思えないのだが、この本もそこに無償でいただいてきたので読む。
今年のGWもとくにどこへも出かけなかったので、こういう本で出かけた気分になろうかと。自分が西村京太郎を読むのはブログ開設以来これが3冊目。
十津川警部は妻直子の大学の後輩笠原由紀から事件について調べてもらうよう依頼。由紀の兄で画家の笠原功は中野のアパートで焼死体となって発見され、事前に灯油20リットルを購入していたことから、恋人との別れ話に悩んだ末の焼身自殺とされていた。
灯油を販売したというGSでの目撃証言もしっかりしていて疑問の余地がない。だが十津川は「証言がしっかりしすぎている」と不信感。これは何か組織的な殺人では?
笠原は事前に信州松本の美ヶ原高原へスケッチに行くと話していた。その約束が人の生死にかかわる重大なものだったという口ぶりだった。
笠原の恋人・坪井アキコによれば、笠原とは信州行の件で口論はしたけど、別れ話なんてまったくない。そして坪井は美ヶ原へスケッチに行くことをFAXで知らせてくる。
だが、坪井は諏訪湖畔で鈍器で殴られ昏睡状態で病院へ搬送。
十津川が病院を訪ねると、笠原はなんで諏訪湖にいたのかも覚えていない。FAXしたことも覚えていない…。
半分あたりでもう事件の概要はだいたい出そろった。あとは事件の推移を見せられる。殺人のアリバイ、証人、総会屋、恐喝、まあ、普通に刑事ドラマを見てる感じ。
こういうの、暇をつぶすのに安心して読めるという人もいるかもしれないが、自分としては何も刺激がない…。
公判後、十津川警部は2人の才能があったのに事件に巻き込まれ死んでしまった画家の肖像画を見比べる。そして本当を真相を求めていくと、画家同士の友情が…という、意外なラストが用意されていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿