2024年6月24日月曜日

綾辻行人「鳴風荘事件 殺人方程式Ⅱ」(1995)

綾辻行人「鳴風荘事件 殺人方程式Ⅱ」を読む。1995年にカッパノベルスより刊行後、1999年に光文社文庫化、2006年に講談社文庫化。自分が読んだものは2017年5刷。

東京警視庁捜査一課の明日香井叶刑事は学生時代まで天体観測を趣味とする理工学部の学生だったのだが、マンションの窓に殺人事件を目的して駆けつけて、そして運命的に出会った女性が現妻の深雪。

深雪は中学時代の美術部顧問で恩師(事故で左足切断後、教師を辞めて画を描いて過ごしてる独り暮らし中年)や、かつての仲間たちと再開するために八ヶ岳山麓の海ノ口へ。タイムカプセルを掘り返して、かつての夢がかなったかどうかなど思い出話に花を咲かせよう。そして自慢の敏腕刑事(?)をみんなに自慢しよう。

だが、明日香井叶刑事はボンクラ。直前になって虫垂炎で入院。代わりに双子の大学院生兄・響(哲学)と夫婦を装い信州へ。途中でかつて深雪の家庭教師だった五十嵐という美青年と出会う。深雪の実家は資産家。

かつての秀才は建築家(肥満)、かっこよかった男子はビデオ映像制作会社、スチュワーデスを目指していた美人はOL。そして、かつて深雪と女流作家兼イラストレーターで予言者みたいなこともする霊能力者(?)姉紗月殺害現場に出くわした妹夕海がやってくる。すっかり成長して姉そっくり。

建築家蓮見が祖父から受け継いで、現在妻が外装にキテレツな絵(ポップアート)を描いている別荘へ移動。これが鳴風荘。八ヶ岳から強風が吹くと「ぎょおおおおおっ」という音が鳴る。(それ以外は抜け穴とか変わったギミックがあるわけでもない)

そして翌日、宿泊してた夕海が、かつて姉が殺されたときと同じ状況で死んでいる。長かった髪を切り取り持ち去られている。衣類の入ったカバンも。

で、その後は身分を弟の叶と偽ったままの兄響が捜査。そこに県警もやってくるけど、バレるまではこのまま叶でいよう。

深夜に地震があってペンキがこぼれて川にようになってる。犯人はこの川を越えられなかった?という、エラリー・クィーンのような些細なパズラー。
さらに、恩師の先生も死後数日たって腐臭を放った状態で発見…。

2007年文庫新装版が出たときの綾辻先生のあとがきによれば、読み返しても「悪くない仕上がり」というから、たぶん自信作。

自分としては、520ページは長いなという印象。それに、弟の明日香井叶刑事がなぜかまったく活躍してない。兄響が身バレしないまま真犯人を名指し。そんなこと可能か?

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