綾辻行人「殺人方程式 切断された死体の問題」を読む。
この本は1989年にカッパノベルスより刊行後、1994年に光文社文庫化、そして2005年に講談社文庫化。自分が読んだものは講談社文庫2018年11刷。
線路で轢死体となって発見された新興宗教団体教祖。そして教主継承の儀式で教団ビルのドーム型ペントハウスに籠っていた夫も、なぜか対岸マンション屋上で頭部と左腕が切断された状態で発見。
押しの弱い明日香井刑事が捜査。京都で大学院生をやっている双子の兄と、動機が有ってアリバイが亡くて、遺体切断に使われた道具一式が車から発見され最重要容疑者となった教祖息子のカノジョが捜査。
刑事を主人公にするとたちまち社会派の雰囲気になる。
講談社文庫化にあたって綾辻先生が巻末にあとがきを書いて弁明しているように、デビュー2年目の若手作家がカッパノベルスという、推理小説のトップブランドから本を出させてもらえるというので、推理作家としてこういうのも書けないとな…という作品だったらしい。
後半に登場する主人公刑事の兄によって、間接的に「読者への挑戦」が発令してる。
物理的な死体運搬トリックは、まあそんなものか…という感じだが、その他、娯楽作品としてまとまっていて、ミステリーとして「こういうのでいいんだよ」的で、ちょうど良い感じ。
実際、発表当時から読者から好評。
とくに、遺体を切断した理由と、川の対岸で遺体発見されるようにしたくだりは、「おお」と驚けた。
続けて「殺人方程式Ⅱ」を読む。
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