2024年6月16日日曜日

我孫子武丸「殺戮にいたる病」(1992)

我孫子武丸「殺戮にいたる病」(1992)を講談社文庫2017年新装版で読む。
この作家の本を読むのはこれが2冊目。グロいサイコスリラーと聞いていたのだが、読んでいる人が多いのでそろそろ自分も読んでみた。

性倒錯者のシリアルキラー、息子が殺人鬼なのではと疑う母、妻を亡くした初老の元刑事、三者それぞれの主観で断片的に綴られていく。
これが明らかに時系列が前後しててわかりづらいし読みづらい。読んでいて違和感だらけなのだが、たぶんきっと叙述トリック的なものだろうと、細かいところは気にせずさっさと読み飛ばす。

初出が1992年。このころは宮崎勤事件があり、「羊たちの沈黙」がヒットした翌年。実在する事件以上に醜怪でおぞましい変態による、若い女性を狙った連続殺人。

ホテルで絞殺された後に、屍姦、そして局部を切り取って持ち去るという、ホラー耐性のない人は活字であっても読んでるだけで気分が悪くなりそう。

初老の元刑事が被害者女性の妹と一緒に犯人捜し。そして犯人に最接近。ここから先が急展開すぎて意味が解らない。カオスすぎんか?
最終ページに到達したとき、説明がなさすぎて自分はしばらく意味がわからなかった。

爽快にダマされたというより、強引過ぎてスッキリしない叙述トリックだった。しばらく考えないと意味がわからないラスト。ああ、そういうことなのね…程度の驚き。

読者をミスリードすることに120%全力な記述がずっと続いていた。いや、事件の顛末というだけでべつにミステリー要素はなかった。
ケータイ電話のない時代なので終盤はハラハラした。
この構成って上手いの?これが最高傑作というのなら、もうこの作家の本は読まなくてもいいかな。

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