2024年5月30日木曜日

芦辺拓「赤死病の館の殺人」(2001)

芦辺拓「赤死病の館の殺人」(2001 光文社 KAPPA NOVELS)という本があるので読む。4作品を収録した一冊。素人探偵・森江春策の活躍を描くシリーズ。

「赤死病の館の殺人」
ポー「赤死病の仮面」を意識した117P中編。森江助手・新島ともかが雨の夜に濡れながらさ迷いたどり着いた七色の部屋を持つ奇妙な館。管理人、作業員、病気の老人、さらに孫娘。
一泊を請うと夜中に黒づくめの不審者。一夜明けると管理人が惨殺され、老人と孫娘は姿を消していた…。
雰囲気がワクワクさせてくれて良い。犯人はあまり意外でないがその真相はありえない点で予想外。

「疾駆するジョーカー」
金で雇われたバイトくん、別荘で見張りの仕事をしてたら、トランプのジョーカーのような衣装をつけた男が躍り出てきて、追いかけてたら背後から殴られ気絶。目が覚めると、人権派弁護士が殺害され、凶器のナイフを手に握らされていて…。
これも雰囲気が良い。

「深津警部の不吉な赴任」
田舎警察署に若きエリートキャリア警察官僚が赴任してくるというその日に発見された転落事故遺体。

「密室の鬼」
偏屈大学教授が自宅で刺殺された事件。

どれも話が入り組んでいて一筋縄でいかない短編。個人的には「深津警部の不吉な赴任」が予想できなかった展開で圧倒的に好き。

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