2024年5月13日月曜日

エミール・ゾラ「水車小屋攻撃」(1877)

ゾラ「水車小屋攻撃」他七篇を収録した岩波文庫(朝比奈弘治訳 2015)を読む。
とくに読みたいというわけでなく、友人の部屋にあったので読む。
エミール・ゾラ(Émile Zola、1840 - 1902)を初めて読む。

水車小屋攻撃(1877)
ロレーヌ地方ロクルーズ村の水車小屋。メルリエ爺さんとその娘フランソワーズが暮らしている。フランソワーズがドミニクと婚約するというサン=ルイの祝日、普仏戦争でプロイセン軍が攻めてくる。そして爺さんとドミニクに降りかかる悲劇。
ドイツ人はプロイセンの時代から将校が残虐。現場の判断で民間人を銃殺するとかするのかよ。

小さな村(1870)
普仏戦争激戦地の村を詠った詩のような文。

シャーブル氏の貝(1876)
45歳にして引退し年金が5万フランもあるシャーブル氏に残された悩みは22歳妻エステルとの間に子どもができないこと。医者のすすめで夫妻はブルターニュの海へ行き貝を食べることに。
海辺の町で妻は若くハンサムで逞しいエクトールに出会って3人でエビやら貝やら捕りに出かけるのだが…。焦るのに鈍感な中年男性が悲哀でしかない。

周遊旅行(1877)
パリの雑貨店娘と金物屋息子の新婚旅行。

ジャック・ダムール(1880)
パリコミューンの闘士、流刑地からパリへ戻ると妻は再婚してて娘は行方不明。老い。哀れな末路…。

一夜の愛のために(1877)
フルートを吹く純情な郵便局事務員青年の侯爵令嬢(サディスト)への恋が、やがて令嬢による過失致死の死体遺棄の共犯へ。なんだかミステリー短編のよう。

ある農夫の死(1895)
フランスの田舎の村でむかしから繰り返されてきた老農夫の死と葬礼。

アンジュリーヌ(1899)
私の目にとまった廃墟邸宅。そして少女の霊?!

8篇どれも意外な展開やオチがあったり余韻が深かったりして名作ぞろい。戦争の愚劣さを短く描いた「水車小屋攻撃」は一度は読んでおきたい作品。

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