柳美里「JR品川駅高輪口」(2016)という本がそこにあったので読む。柳美里を読むのは今作が初めて。
この作品は2012年に単行本「自殺の国」として刊行後、2016年に河出文庫「まちあわせ」として刊行。そして2016年新装版で現タイトルに改題。
16歳高1少女が主人公。偏差値50の公立校に入れず滑り止めの偏差値40私立校で無気力。クラスではヒソヒソ陰口。両親は不仲。
そんな少女の逃げ場は匿名ネット掲示板。自殺願望を書く仲間。
この山手線シリーズのテーマは「自殺」らしい。それは純文学としても相当に踏み込んだ内容。
ネットで一緒に死んでくれる仲間を募って合流し、車を持ってる人が死に場所を提供。隙間を目張りし練炭。ここ15年ほど日本で不気味に流行した異常な死に方。
このシリーズはどれもそうらしいのだが、ヒロイン周辺の会話とノイズがすべて録音から書き起こされたかのよう。女子高生たちの会話口語をそのまま書き起こしてる。電車の車内アナウンス、テレビのニュースまで執拗に書かれてる。
掲示板もそのまま見せられる。この時代を生きた人しかよくわからない文体ではないか?
中高生は理解しやすいのかもしれないが、大人、中高年男性は読みにくい。
純文学というより映像作品の台本ぽい。読んでいて脳内イメージ映像がカットバックの連続になる。なんか「ラブ&ポップ」という映画を想い出した。
死の淵に立った少女の話ではあるのだがPOPな雰囲気。ラストには生きる希望。
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