宮部みゆき「レベル7」(1990)を新潮文庫で読む。これが自分にとって3冊目の宮部みゆき。初期長編。
一室で目を覚ました男女。自分は何者なのか?ここは何処なのか?一切の記憶を失っている。腕にはレベル7の文字。拳銃と札束入りのスーツケース。一体何があった?
隣人三枝が強引に介入してくる。こいつは脚を引きずってるけど何者?勝手に部屋を探して拳銃だけ取り上げられる。
そしてもう一人の主人公シングルマザーが登場。電話相談などをしてるのだが、仲良くなった女子高生が家出失踪。ネグレクト母が警察に相談もしない。なので執念で地力捜索。
前半は何かVR仮想空間SFか?という匂いもした。ページをめくる推進力とワクワク感とサスペンスがあった。
だが、終盤はすごくテンポ悪い。冗長だし、そんなことはどうでもいいという箇所が細かい。読者のツボをついてくれない。
そして真相が荒唐無稽。いくら巨万の富を築いて政財界に顔が効いて、隠ぺいも何でもできるような大金持ちが登場するような話はリアリティありそうだけど実際はない。
結論を言うと、これ、世評ほどには面白いと感じられなかった。「レベル7」の真相ってそんなこと?むしろがっかり。
平成随一の人気作家宮部みゆきを令和になって3冊読んだのだが、今のところ社会派推理小説の書き手として、平成の松本清張としての「火車」しか自分は評価してない。
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