2024年4月21日日曜日

染井為人「滅茶苦茶」(2023)

染井為人「滅茶苦茶」(2023 講談社)を読む。どんな話なのかまるでわからないタイトル。

コロナで人生狂わされた見ず知らずで世代も違う男女3人が、重大な選択の分岐点ですべて最悪な方へ間違って行ってしまう「滅茶苦茶」なドタバタ悲劇。

仕事もできるし毎日それなりに楽しく暮す37歳独身女性が、コロナの寂しさからついマッチングアプリに手を出して、中華系マレーシア人と親しくなり、暗号資産を薦められ、最初の内は儲けがでていたのだが、ここぞという勝負のために500万を注ぎ込んだら…という。

読んでいて、ことごとく「ああバカ!」って悪態が口をついて出てくるw これぞドツボ。国際ロマンス詐欺とチャイニーズマフィアの蟻地獄に落ちていく。
男の姉が見るからに不自然な整形顔とかリアルだなと感じた。人間に必要なのは断る勇気だな。

そして県下NO.1進学校に通うと落ちこぼれてしまった高校生が、電車で不良にからまれる嫌な話。
この不良が小学生時代の同級生。そのヤリ〇ン彼女といい感じになったり、チンピラ大学生に絡まれ、逆に不良たちでボコボコにして金を請求したらヤクザが出てきて…という、こちらもハードな転落人世。バカ不良仲間とつきあうとろくなことにならないという事例。

こいつもことごとく分岐点で間違えたほうを選んでる。しかし、不良と接することのない地域に生まれ育ってさえいればこんな目に遭っていない。
この高校生が上毛電鉄の下りに乗って、コロナでリモートになってしまった高校に久しぶりに行く。しかも男子校。この高校ってたぶんぜったいに群馬県の前○高校?!

そしてコロナによってニッチモサッチも行かなくなった、沼津のラブホテル経営者50代男性。
ラブホテルだからという理由だけで行政から助けてもらえず、コロナの持続化給付金の不正受給に手を染めていく。
そもそもコロナって本人に何の責任もないのに、給付金で差別され、給付金というエサを撒かれ、しょうがなく不正手段を採った人間が転落していく。これはもう完全に日本国が仕組んだ罠。

そして、3人の群像劇がついに同地点に収束していく。これがもう「滅茶苦茶」なド派手なカオス展開。
こういうの、映画やドラマでたまに見る。みんなコロナの犠牲者。憐れ。
だが、なんだかラストは希望。みんな死ぬなよ!っていうメッセージ。

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