2024年4月14日日曜日

眉村卓「ねらわれた学園」(1973)

眉村卓「ねらわれた学園」(1973)を2003年青い鳥文庫 fシリーズ版で読む。
この作者の本を読むのは「なぞの転校生」に続いて2冊目。中学生たちが主人公のジュブナイルSFというジャンル。
とくに読みたかったというわけでなく、いつか読むかもしれないからともらってきた本。

大阪阿倍野六中2年3組の関耕児くんは優秀で人望もありクラス委員に選ばれるのだが、投票で2位だった西沢響子が何かと反抗してくる。
こいつは誰も望んでいない「風紀を正す」だの「厳格な規律」を求めてくる。

どうやら、すべての元凶は生徒会長の高見沢みちるのせい。校内パトロール員というゲシュタポたちが、ちょっとした違反を重大な違反かのように騒ぎ立て「処分」とか言ってくる。その勢力はやがて全校へ。

さらに、高見沢は栄光塾という謎の塾に通っていた。ここが熟生を洗脳してる?
だが、高見沢は超能力を使って先生や生徒たちに頭痛や胸の苦しみを与えたり、投げ飛ばしたりする力を持っている?逆らったり反抗したりすることは許さない。

なんだか読んでいて空恐ろしい。ナチスも親衛隊がこんな感じでドイツ全土を蚕食していった。近年では香港の民主化がぶっ潰されていったのもこんな感じ。プーチンロシアはもう戻れない段階。
これはおそらく戦争を経験した眉村卓から今の少年たちへの警告。誰も望んでなくても全体主義ってある日突然やってくる。

たぶん、自民党長期政権と政治に関心を持たない若者たちへのメッセージ。誰も望んでいない変化をこちらに強要ごり押ししてくる輩にはきっと別の目的がある。

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