2024年3月6日水曜日

司馬遼太郎「馬上少年過ぐ」

司馬遼太郎「馬上少年過ぐ」を読む。全7編を収録する短篇集。
昭和39年から44年にかけて別冊文藝春秋やオール読物、小説新潮など各誌に掲載されたもの。昭和53年に現行の新潮文庫化。では文庫掲載順に読んでいく。

英雄児 
幕末の越後長岡藩家老河井継之助の生涯。「峠」上中下巻ぶんを短編で読める。これは講談社文庫「王城の護衛者」にも収録されているので今回が2回目の読了。

慶応長崎事件 
長崎での英国水兵斬殺事件。容疑者は土佐藩の海援隊士かと思われたのだが。

喧嘩早雲 
足利藩の田崎早雲。名人レベルの絵師で武芸者。幕末には足利藩兵を率いて名将となる。

馬上少年過ぐ 
もうちょっと早く生まれていれば天下人だったかもしれない伊達政宗の若き日々の回想。自分は政宗という人は小田原を攻める時に秀吉の前に白装束で現れて以降しかしらなかった。父に似て小柄で疱瘡に罹って容貌が怪異で生母(最上家)から嫌われた。

重庵の転々 
土佐の村医者重庵(史実では文庵)が伊予吉田藩主伊達宗純の命を救い、宗純の側近山田仲左衛門となるのだが、仙台から藩主に付き従ってきた家臣たちから恨まれ命を狙われ、仙台伊達家の預かりとなる話。自分、最近ブラタモリの宇和島回を見るまで、なぜ伊予宇和島藩に伊達家がいるのか、なぜ宇和島藩の中に吉田藩があるのか知らなかった。

城の怪
元和年間の大坂城下。牢人万左衛門と鍋売りのお義以。これは「妖怪」みたいな司馬文体幻想怪奇。自分としてはあまり読む価値を見出せない。

貂の皮
じつはこの短編を読みたくてこの本を手に取った。豊臣系の大名・脇坂安治について知りたくて。この人、関ケ原の布陣に名前があることは知っていた。韓国ドラマで李舜臣と敵対する日本側代表みたいに描かれてるらしいことも最近知った。え、賤ケ岳七本槍って、秀吉が脇坂を数合わせに入れただけ?特に何か大きな働きというやつをしてない?赤井氏を攻めたときに城内に交渉にいったときに霊験のある「貂の皮」をもらって運がよかっただけ?!

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