2024年3月7日木曜日

カミュ「シーシュポスの神話」(1942)

カミュ「シーシュポスの神話」(1942)を清水徹訳(1969)新潮文庫(2005改版)の2019年(70刷!)で読む。

この本、日本でなぜか多くの人に読まれてる。「異邦人」「ペスト」「転落・追放と王国」あたりを読んだ人がついでにこの本を取ってしまうらしい。

自分、この本を中学生のころから知っていた。高校時代にページをめくってみて手に負えないと感じた。そして大人になって開いてみて、やっぱり手に負えない!w 
どうやらそれは自分以外の読者も同じ気持ちらしい。この本でカミュが語っていることがたちどころに理解できる人は、今すぐ大学で教鞭をとるべき人物。

「シーシュポスの神話」という、詩のような語りかけるような物語の章は短い。だが、そこまでに至る作者の考察「不条理な論証」「不条理な人間」「不条理な創造」を読むには、大学で哲学・思想などを勉強した人でなければ、たぶん置いていかれる。
作者が「自殺」について考えを語り、キルケゴールやヤスパースについて語っている。

自分もほぼ毎日、現代の日本社会から軽い「絶望」を味わってるのだが、この本がなにか救いとなるような答えを提示してはくれなかった。無益な労働に苦しむ日本の若者を救ってくれるようには思えない。
今回の読了は雰囲気を味わったのみだが、自分の残りの人生でこの本を再び開くかはわからない。

巻末には付録として「フランツ・カフカの作品における希望と不条理」というページがある。新潮文庫にあるカフカ作品を読んだ自分としては、何もピンとこないw いや困った。

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