2024年3月26日火曜日

ジェフリー・アーチャー「レンブラントをとり返せ」(2019)

ジェフリー・アーチャー「レンブラントをとり返せ ロンドン警視庁美術骨董捜査班」(2019)を読む。戸田裕之訳新潮文庫(2020)で読む。
自分がジェフリー・アーチャーを読むのはこれで2冊目。前回読んだ「大統領に知らせますか?」が1979年の作なので、今作とは40年の隔たり。
NOTHING VENTURED by Jeffrey Archer 2019
なんだかだいぶ原題と違う。いろいろ盛ってる。
しかし、作者から読者へのまえがきによれば、「クリストン年代記」に登場する作家が書いた連作小説の主人公「ウィリアム・ウォーリック」が、平巡査から警視総監に登りつめるシリーズ第1作になるらしい。

なのでこの物語は1979年7月から始まる。主人公ウィリアム・ウォーリックは有名な刑事事件弁護士で貴族の父を持つ。パブリックスクールからキングズカレッジに進み、美術史を専攻しカラヴァッジョを研究。
父ジュリアンの望みは息子がオックスフォード大学へ進んで法律を学び、自分の法律事務所で仕事を手伝ってもらうこと。
しかしウィリアムはオックスフォードのカレッジに入学を認められているのに、大学卒業後は父の反対にもかかわらずロンドンの警察学校に入ってしまう。ウィリアムは幼少のころから名探偵になりたかった。

この本の序盤は、少年聖歌隊員のような爽やか青年ウィリアムの平巡査としてのパトロール風景。
そして2年後に昇進試験(自信ないとか言ってたのに圧倒的1位の成績)で刑事になり、大学で美術史を学んだことから美術骨董捜査班(刑事が4人しかいない)へ配属。
英国の育ちの良いお坊ちゃんが、カンと嗅覚の良さで、大物名画窃盗犯フォークナーを追いかけ、手柄を立てる…という80年代ドラマ。

「大統領に知らせますか?」が新米FBI捜査官の話だったのだが、こちらはスコットランドヤードの新米刑事の話。主人公青年の雰囲気がすごく似てる。美女と知り合ってムフフという展開もそのまま。たぶんこの主人公もハンサム。これが英国刑事もののデフォか?

英国の警察官も言葉遣いが汚かったり粗暴だったりするのだが、日本と決定的に違うのは、育ちの違う貴族階級がいること。話を聴きにいってレストランで食事とか、日本の警察官はたぶんできない。マナーも作法も知らない。ワインの選び方もわからない。もしかして少しは警察学校で教えてるのか?

あと、刑事って自身が出世していくために、自分以外の警察官が手柄をたてるのが面白くないものらしい。だから刑事ドラマってやたら自分の手柄にこだわってしゃしゃり出て行って勇み足して冤罪生み出したりするのか。

ウィリアムくんが新人でうっかりもあるのだが有能。レンブラントをとり返すために適切に動いたし刑事として活躍したと言える。
終盤の5ぶんの1は、ウィリアムの婚約者となった美術館(7年前にレンブラントを盗まれた)の調査助手ベスの父親(冤罪の殺人で終身刑)の再審法廷と、レンブラント窃盗犯フォークナーの陪審員裁判の法廷でのやりとり。
この窃盗犯との決着のつき方が英国らしい。シリーズの今後を想わせるおしゃれなラスト。

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