2024年3月11日月曜日

岡嶋二人「珊瑚色ラプソディー」(1987)

岡嶋二人「珊瑚色ラプソディー」(1987)を集英社文庫(1990)版で読む。

勤務先のシドニーから婚約者の彩子と結婚するために、二週間の休暇を得て成田に降り立った里見は出迎えているはずの彩子がいないことに気づく。弟によれば、彩子は沖縄の八重山諸島にあるという石富島というところで盲腸炎で病院に担ぎ込まれ手術したらしい。

急きょそのまま成田から沖縄に飛んで現地に急行した里見は彩子と再会。だが、彩子は前後の記憶がはっきりしない。女友達の蓮田乃梨子と一緒に旅をしていたと主張するのだが、乃梨子の母に電話すると乃梨子は青森を旅行中とのこと。え、そんなはずはない!

要領を得ないまま里見は方々に話を聴いて回る。病院に手術費入院費を払った40歳ぐらいの男がいた?彩子はその男と旅館に宿泊していた?里見は婚約者に疑惑の眼差し。だが、彩子は「信じて!」

週に二度、片道3時間の定期便が出る宇留間という島に彩子は乃梨子と一緒に行ったはず!
この小さな離島の診療所に乃梨子の兄が医師として勤務していた。
里見はこの医師を訪ねて話を聴きにいく。「え、ふたりは来てないけど!?」

いったい何がどうなってる?里見を尾行する若い男。宇留間出身の歌手、追っかけ少女、人相の悪い男、様々な謎。

何かを隠ぺいしようとする勢力と、真相を探ろうとするカップルの戦い。そして冒険。そしてラブ。
まるでスパイ小説のような面白さ。一晩でイッキ読み。ああ、この岡嶋二人もまるで展開の読めないやつ。ずんずんページをめくれる面白さ。

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