2024年3月10日日曜日

津本陽「鎮西八郎為朝」(1987)

津本陽「鎮西八郎為朝」(1987)を講談社文庫(1992)で読む。
自分が津本陽(1929-2018)を読むのは初めて。

鎮西八郎為朝は八幡太郎義家の孫で、源氏の棟領源為義の八男。身長はなんと七尺二寸(218cm)という目立ちすぎる大男。5人張の強弓を引く強者。為朝が放った矢は敵3人を串刺し…とか、どう見ても盛ってるだろ。

16歳の為朝は崇徳上皇の白河殿で、弱輩の分際で武辺を誇り信西と争い無礼を働いた。父為義は為朝を九州豊後へ追放(逃がす)。
為朝は村人を困らせていた大蛇を自慢の弓で退治し、妖術を使う修験者たちを退治し、その評判は九州一円へと広まる。

やがて京では崇徳上皇と後白河天皇の対立。父為義に呼び戻される。「保元の乱」開戦。為義、為朝は崇徳上皇側につくのだが、兄の源義朝は後白河天皇の側についた。
侍大将として思う存分暴れようと思いきや、速戦即決の方針を左大臣藤原頼長に否決される。やれやれ。宮廷儀典だけやってればよい公家が軍事の専門家に意見するとか、そもそもの間違い。

で、平清盛、源義朝に急襲され、崇徳上皇側が敗走。父為義は法体となって逃走を図るも、長男義朝にダマされる形で斬られる。為義の子たちも清盛と義朝によって次々と斬られる。
為朝も逃走を図るのだが体調を崩してしまい捕縛される。だがなぜか為朝は命は助けられ伊豆大島へ配流。

腕の筋を切り抜かれてもまだまだ腕力の強い為朝。伊豆大島全体をほぼ自分のものにしてしまう。そして保元の乱で逃散した生き残りの家来たちも合流。伊豆から渡ってくる工藤茂光の家人たちも退ける。
為朝の矢が敵の船を沈めるほどの威力と命中精度。まるでスナイパー。そのへんの描き方はファンタジー。
てか、軍記物をそのまま口語訳したようなものなので、登場人物たちがみな単純バカに感じる。司馬遼太郎のような合理的な説明解説とかまったくない。

そして工藤を討つべく伊豆を襲撃するのだが初めての敗北。為朝と一行は御蔵島のさらに南にあるという葦島を目指す。それってもしかして八丈島?
しかしこの時代の渡海は命がけ。運を天任せるようなもの。

ここから先はもう伝説。かなり無茶苦茶なファンタジー。為朝がスーパーマンすぎる。

途中で出会った琉球船を斬り従え、有能な水主を得た後に九州を目指すはずが徳之島へたどり着き、宋船の海賊との戦闘で妻を流れ矢で失い、怒りのあまり敵を全員斬首皆殺し。
さらに琉球へたどり着き、戦国琉球を平らげ征服。そして再び新たに妻子を得る。

だが為朝は九州でまた再び武士として戦乱へ身を投じたいと願う。京にいる憎き信西を討ちとりたい。周囲が止めるのも聴かずに再び海へ…という内容。
大人が読むには内容がファンタジーすぎた。はちゃめちゃすぎ。軍国主義時代の少年たち向け読み物みたいだった。

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