2024年3月9日土曜日

筒井康隆「時をかける少女」(1967)

筒井康隆「時をかける少女」を平成28年新装版角川文庫(表紙イラストは貞本義行)で読む。あまりに有名なジュブナイルSFの古典的名作。映画やドラマで見たことはあっても、原作は今まで一度も手に取ったことがなかった。

一番最初の映像化はNHK少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」(1971)で主演は島田淳子。自分はこれは写真資料でしか見たことがない。

初映画化は1983年の原田知世主演、大林宜彦監督の角川映画「時をかける少女」。これはある年代以上の人はほぼすべてが知ってる有名作。
1997年には角川春樹が監督で中本奈々版も作られたそうだが自分は未視聴。2010年の仲里依紗版もある。細田守監督によるアニメ映画(2006)もある。
テレビ版として1985年には南野陽子、1994年には内田有紀、2002年に安倍なつみ版、2016年には黒島結菜版も作られた。それだけ愛された古典SF。

1960年代に中学生向け学習誌に連載されたものなので、とにかく文体が平易で分かりやすい。今の子が読むと平易すぎて物足りないかもしれない。
それに高校生たちの会話が、今の高校生たちからすると、やはり古めかしい。でも子供なりに時代が違うということは理解できるだろうかと。

筒井康隆せんせい本人が出演した、内田有紀版「時をかける少女」)のブルーレイはまだか?配信とか再放送でもいいから誰か偉い人が実現させてほしい。ヒロインの友人役が菅野美穂、妹役が安室奈美恵という豪華なキャスト。

この文庫本の後半ページには2本の短編を収録。

「悪夢の真相」
中学生のための心理学入門とでも呼ぶべき短編。なぜ自分はこれがこんなにも怖いんだろう?それには理由がある…ということを子どもにもわかりやすく教えてくれる。学習誌にふさわしいジュブナイル短編。これは「世にも奇妙な物語」とかで面白い短編ドラマにできそう。

「果てしなき多元宇宙」
これも小中学生でも読める平易な文体なのだが、いかにも筒井康隆らしいはちゃめちゃカオス展開。正直、この文庫本でこれがいちばん面白かった。

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