岡嶋二人「眠れぬ夜の殺人」を読む。昭和63年に「小説推理」誌に2回に渡って分載され、同年双葉社より出版。1990年に双葉文庫化。1996年に講談社文庫化。
真面目なサラリーマンが酔っ払いの労務者風チンピラに路上で絡まれ、もみ合ううちに相手が転倒し死んでしまう…という最悪な出来事。そして、「見ていた」という脅迫。
ああ、こんな松本清張でよく見る暗転と転落イヤミスを読むの、しんどいな…と思って読み進めるのだが、途中から何やら雰囲気が変わってくる。
え、東京都内各所で同じような、酔っ払いちんぴらが高い地位にいる真面目な男を狙って絡んでイザコザを起こし、ちんぴら側が倒れて死亡する事件が何件も起こってる?!どの事件もみんな同じ構造。
路上で喧嘩した場所が被害者の生活圏から離れてる。そしてその前日の足取りがつかめない。
この件に気づいてる男女グループがいる。事件の背後と全体像を捜査してる。ボスに相当する人物が、事件の本当の黒幕悪党を探るべく的確な判断と指示を出している。
黒幕が相当に慎重なのだが、捜査する側がとてつもなく天才的に有能。危険な工作と潜入捜査を担当する聡美(美女)がとてつもなくかっこいい。
最初は社会派推理小説だろうな…と、ちょっと失望しながら読み始めたのだが、全体の3分の2ほど読んだところで、これは爽快な展開が期待できる!となった。あとはどうやって黒幕を暴いて悪党たちに報いるかが焦点の、爽快な潜入美女捜査官スパイアクション。
いや、こんな面白い展開をよく考えつく。まるで予想がつかない。傑作!文庫解説は貫井徳郎。
SNSでブラックバイトを見つけて乗っかってしまう若者にこれを読ませたい。利用され棄てられる駒でしかない。
なんでこれぐらい面白いクライムサスペンスとアクションの邦画がないんだろう。あと、東京地検特捜部もこれぐらい有能であってほしい。悪事を白日の下にさらして巨悪自民党をぶっ潰してほしい。
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