バグダッドとは中東のバグダッドではない。米カリフォルニアにあるバグダッドという町が舞台。アメリカには各地に世界の都市の名前のついた市や町がある。なのでときたま混乱する。
あと、この映画は西ドイツ制作の映画だと今回初めて知った。Out of Rosenheimという原題がついてる。どこが「バグダッド・カフェ」だ。
これ、日本でも1989年に公開された。以後、長らく記憶される名作という扱い。主題歌として使われたコーリング・ユー(ジェヴェッタ・スティール)も流行った。今回初めて見た。監督・脚本はパーシー・アドロン。
中年の男女が口論。ドイツ語。大人げない喧嘩。正直、様子がよくわからない。旅行ケース引きずって砂漠の一本道を行く様子はまるでアメリカ横断ウルトラクイズ。
この禿げ頭のドイツ人男性にガソリンスタンド(カフェ併設)の経営者と店員(ヒスパニック系?と黒人)も困惑。バッハのピアノ曲ばかりを練習する黒人少年。口うるさい黒人女。
このカフェがビールもコーヒーも出せない。みんなだらしない。黒人男はローゼンハイムと書かれた魔法瓶を土ぼこりのハイウェイで拾う。黒人夫人と口論の末にケンカ別れ。もう何がなんだか。そんな群像劇ドラマらしい。
そこに中年ドイツ女(肥満)がたどり着く。「部屋は?」「ここに泊まるって本気か?タクシー呼ぼうか?」こんな汚いモーテルに泊まる客がいるとは経営者も考えてなかった。
「車が壊れたのか?」「いやクルマじゃない」ドイツ女は小切手で支払い。「1泊か?」「何日滞在するかわからない」
アメリカ西部のへき地のモーテルって泊ったことないのだが、受付と部屋ってこんなにも離れてるものなのか。
この外国人宿泊客のことが経営者黒人女ブレンダにとっては謎。ムンシュテットナー夫人?西ドイツ・ローゼンハイム市?
部屋にはヘンテコなものばかり。危険人物かもしれないからと保安官に電話。え、そんなことで?
保安官が三つ編みヘアスタイル。ネイティブアメリカンなのか。ラスベガスに近いということで身分証を確認しいくつか質問。
「一人で旅行?」「航空券は往復?見せてもらえる?」自分、昔フランクフルトで入国審査受けるとき帰りの航空券持ってるかどうか確認されたことを想い出した。
保安官からしたら旅行者夫人に何も不審な点はない。しかしブレンダは「そんなはずない!」
夫人は求められもしてないのに勝手に事務室の掃除を始めたりする。給水タンクや看板を掃除したりする。なんで?そんなことしたらあの口うるさい黒人女をさらにイラつかせるだろ。案の定ライフル銃持って激高。これは何か文化摩擦を描いた映画なのか?
この店にはハリウッドからの流れ者の老紳士(キャンピングカー生活者?衣服が派手)や、タトゥー彫り師とその客(トラック野郎)とかもやってくる。トラックに乗ってバックパッカー(ブーメランを投げて遊ぶだけの青年)もたどり着く。ブレンダの娘(義理の?)もガサツ。
これ、映画というよりは舞台作品ぽい。ところどころでニヤッと笑ってしまうユーモア。
いやあ、映画というものは自分も実際そこにいるかのような没入感を与えてくれる。呆然とそこにやってくる客たちを眺めるしかない。
カオスだったバグダッド・カフェがだんだんと美しい調和を得ていく。ドイツ夫人は絵のモデルとなり手品を披露。なんだかみんな楽しそう。口コミで多くの客が集まるようになる。
しかし、外国人の滞在には期限というものがあるのでは?
と思って見ていたら、あの保安官が動く。ああ、やっぱりそうなるか。楽しい時間というものは有限だ。イッキに現実に引き戻される。
でも…、あの青年がブーメラン投げて遊んでるシーンが何回も映るので、このドイツ女はいつか戻ってくるんだろうと想像ついた。
この二人が再開する場面で終わってほしかった。ラスト15分は正直いらない。ブレンダの旦那が帰ってくるシーン、息子のピアノが活かされるシーンはエンディングスタッフロールで写真で見せてくれればいいや。
アメリカの田舎町に流れ着いた中年女が自分の居場所を見つけ、異分子がやってきた町もハッピーになるという大人のファンタジー人間ドラマ。
アメリカってこんな感じでできた国なんだろうと感じた。あと、アメリカは土地が有り余るほどあるな…と感じた。
あと、熟女デブヌードが好きな人は見るべきだが、耐性のない人は絵画モデルシーンは見るのがキツいかもしれない。
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