歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」(2003)を読む。文芸春秋・本格ミステリ・マスターズ判の第12刷で読む。この作家の長編単行本を読むのは今作が初めて。
タイトルからてっきり純文学か恋愛小説みたいなものを想像していたのだが、開始早々にゆきずりの女とセッ〇スした男の生々しい事後実況。そして押さえられない性欲と援助交際批判w そして、墓場を掘り返す男の風景。
さらに別の女と出逢った回想。地下鉄ホームで飛び込み自殺を未然に防ぐというシーン。
主人公は高校卒業後に探偵事務所で働いていた過去があった。ヤクザの抗争で殺された組員の件を調査するために、組員として潜入捜査。さらに凄惨な殺害現場に遭遇。
さらに、蓬莱倶楽部という羽毛布団やアルカリイオン水などの健康食品を高齢者に売りつける悪徳企業に祖父を殺されたという美少女孫からの捜査依頼。この蓬莱倶楽部を探るべく潜入捜査。
この会社がほぼ反社で悪質極まりない。高齢者の退職金や年金や資産をしゃぶりつくし、ローンを組ませて借金漬け。一部借金帳消しをエサにヨゴレ仕事をさせ事業として継続。
保険金をかけてひき逃げに見せかけて殺す。運転手も借金漬けの男に命じてやらせたことだし、事故車両は中古車としてロシアに輸出。
さらに、主人公は体を鍛えてる警備員だがいろんな仕事を持っている。パソコン教室講師として高齢者にも教えてるのだが、教え子として知り合った飲み友だち老人の娘を探して名古屋へ人探し調査。
そんないくつもの断片的場面が相互にどんな関係と繋がりが?読者は読んでいてひたすら困惑。現在地が見えてこない。
だが、その箇所がやってきたとき、「!?」自分はしばらく意味が解らなくて、同じ箇所数行を何度もぐるぐるした。
アあぁぁ…、この本も叙述トリックだったのか!そこ、ぜんぜん想像してなかった。
叙述トリックにはこんなパターンもあるのか。これもやっぱり映像化は不可能じゃん!
文体はとてもわかりやすい。さくさくページをめくれる。400ページちょっとを2日で読んだ。
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