2023年10月6日金曜日

あまちゃん 第157回「おら、紅白出るど」

2013年はずっとあまちゃんフィーバーが年末まで続いて、遂に天野アキこと能年玲奈がこの年のほぼ主役として紅白歌合戦にも出演。当時見ていて「すげえな」と想ってた。

今年の10周年記念再放送は残念ながらBSでの放送で、多くの日本人で感動を共有し合うまでに至らなかった。だが、マボロシの第157回「おら、紅白出るど」がオンデマンド(有料)コンテンツとして配信。ま、現場の人がせいいっぱいがんばった結果。

お金払って見た人もいっぱいいたと思うのだが、実際は多くの人が当時録画したものを見て気持ちを浄化。

北三陸のスナックリアスに集まったあまちゃん出演者たちが忘年会をやっているというていの台本やりとり。これはまあドラマでもあった茶番。司会者嵐の仕切りが典型的なNHK紅白ならではノリ。
だが、足立ユイこと橋本愛がいつのまにか「潮騒のメモリーズ」衣装に着替えてて、「アキちゃん、すぐ行くから待ってて!」の後にあまちゃんのテーマ曲演奏が始まり、第157話と表示されたときの列島歓喜といったらなかった。ものすごくテンションあがった。
どうしたって北三陸から出られなかったユイちゃんがついに東京へ!軽快な音楽に乗せて、鉄拳による手書きアニメーションによって、きたてつが、アキちゃんパパ黒川正宗(尾美としのり)さんの個人タクシーが、ユイちゃんを東京渋谷のNHKホールへ運ぶ。なんという粋な演出。
自分、あまちゃん本編の最終週ではとくに感動もしなかったのだが、この一連の流れに泣いた。今回録画したブルーレイを取り出して見て泣いた。なんなら今も思い出して泣いてる。ふと思い出すだけで涙ぐむ。

「え、夏ばっぱ」「似てるけど別人だw」あの日あの時、このふたりが日本の中心にいた。主役だった。
橋本愛の貧弱で震え声の歌唱が緊張感を伝えてる。なにせ当時17歳高校3年生だったのだからそれも当然。
そして天野春子こと小泉今日子登場。
そして鈴鹿ひろ美こと薬師丸ひろ子登場。たたみかけるようなサプライズの連続。

「あまちゃん」を見ていなかった視聴者からしたら意味がわからなかったと思う。まるで「あまオタにあらずんば人にあらず」といった扱い。それぐらい当時のあまちゃんフィーバーはすごかった。
そして最後はあまちゃんファミリーが一堂に会して「地元に帰ろう」を歌う。NHKならではのノリと演出。(157話の前パートではアメ横女学園による「暦の上ではディセンバー」GMT48によってパフォーマンス)
審査員席の夏ばっぱこと宮本信子。この年の夏、夏フェス会場でもノートパソコンで脚本を書いていた宮藤官九郎。そしてその背後にヒビキ一郎(村杉蝉之介)が!という小ネタも仕込む。NHKの粋な演出に感心。

「あまちゃん」はスターウォーズ並みかそれ以上の伝説サーガ。放送中から続編を期待する声があったのだが、このあまちゃん紅白の素晴らしさによって、すべてのあまオタが成仏。
この時は能年玲奈も橋本愛も人気絶頂だった。国民的人気ドラマを引き当てたことは幸運だった。
日本も震災復興と東京五輪招致決定により、国民の気分も高揚へ向かっていた。あのころは今より良かった。まだマシだった。
後にすべて徒労に終わる10年だった。旧態依然の日本はどんどん没落を止められなかった。

クドカンが2019年の「いだてん」で「あまちゃん」のような仕事ができなかったことは残念だった。
さらに東京オリンピック開会式が「あまちゃん紅白」のような粋な演出と感動が皆無だったことはもっと残念。むしろ日本経済にトドメを刺した。
そして同じシステムのもうけ話「大阪万博」もさらなる責め苦。

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