2023年9月23日土曜日

W.アイリッシュ「黒いアリバイ」(1942)

ウィリアム・アイリッシュ「黒いアリバイ」(1942)を稲葉明雄訳1977年創元推理文庫版で読む。
BLACK ALIBI by William Irish 1942
デトロイトの三流酒場を回る歌手にすぎなかったキキは南米の大都市シューダ・レアルに移って、マネージャーのマニングと組んでから成功をつかみつつある。

マニングがどこからか連れて来た黒豹を連れて新聞記者たちに写真を撮らせるつもりが、その黒豹が大勢の人々や歓声やカメラのフラッシュといった刺激を浴びて、その場を混乱させ、衆人環視の中でひと暴れして逃走。大規模な捕物をしたのにそのまま行方不明。マニングくんはマネージャーをクビ。

そしてシューダ・レアル市で見つかる女性の惨殺死体。夜間に木炭を買いにお使いに出された少女テレサ・デルガド、恋人との逢引きに抜け出した令嬢コンチータ・コントレラス、夜の女クロクロ、アメリカ人観光客サリイ・オキーフ、みんな黒豹によって無残に切り裂かれた状態で発見。

警察は何の疑いも持たずに黒豹の仕業だと決めるつけている。爪や毛が見つかっている。
マニングはそこに異議をさしはさむ。誰も黒豹の目撃者がいない。石でできた都市のどこに隠れ潜む場所があるというのか?
それに獣がこれほど残虐なことをするだろうか?しかも被害者はすべて若く美しい女性…。

しかも、地元警察のロブレス警部がマニングの指摘にまったく耳を貸さない。こいつの目は節穴だし無能すぎる。しかも頑固。不信感しかない。

マニングくんは、恋人コンチータ嬢を失い廃人同然のベルモンテくんと、友人サリイを失ったマージョリイに、真犯人への敵討ちを持ち掛ける。犯人を罠におびき出す。
だが、犯人のほうが上手。マージョリイの命が危ない!

とても古典的な殺人鬼サスペンス。犯人の正体も古典的。令和の今これを読んでも、もうそれほどの新鮮味もないかと。
もうあまりアイリッシュ(ウールリッチ)作品を読み漁ってるという人も見かけない。

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