岩波ジュニア新書890「情熱でたどるスペイン史」池上俊一(2019)を読む。
スペイン史に関する新書は最近も赤岩波新書で読んだばかりだが、歴史本はそれぞれ切り口が違う。いろんな本で何度も何度もなぞって読むことでやっと見えてくることがある。血肉となる。なので読む。
ローマ属州時代からイベリア半島を語る。スペインの国土の内陸部はメセタと呼ばれる降水量の少ない高地。農業に向かない荒れ地。そんな国土が現在のスペイン人の性格に影響を与えている…、そういう発想は今まで自分にはなかった。
この本一冊読むと、高校世界史のスペインに関するトピックすべてを押さえられる。岩波ジュニア新書は読んで感心することが多い。この本も例外じゃなかった。
レコンキスタが進んでいく過程を自分は今まで何も語れなかった。イスラム勢力(後ウマイヤ朝)とムラービト朝、ムワッヒド朝という言葉は覚えていたのだが、その間にタイファ(群小諸王国)乱立の時代があったことを知らなかった。この時代、北部のキリスト教諸国連合にイベリア南部を奪還していく隙を与えた。
1212年「ラス・ナバス・デ・トロサの戦い」とかすっかり忘れていた。それにしてもスペイン人の名前が覚えられない…。
ユダヤ人、コンベルソ、血の純潔、異端審問制、ロマンセーロとピカレスク小説の流行、そのへんは高校世界史ではほとんど聞いてない。
新大陸でのエンコミエンダ制、ラス・カサスの告発、も初めて知った。郷士(イダルゴ)という言葉も初めて知った。
ブルボン朝時代、19世紀の社会分裂と領袖政治、プロヌンシアミエント(クーデターの多発、なぜか民衆は民主主義の主役になろうとしない)とか、自分は今まで何も語れるものを持ってなかった。
少しずついろんな何かを身に着けていく。こういう本は折を見て何度もページを開きたい。
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