ロシア映画「草原の実験 Испытание」(2014)を今になって見てみる。これは東京国際映画祭で上映され日本国内でも劇場公開されたことがある。監督・脚本はアレクサンドル・コット。
この映画、ほぼセリフというものがない。ずーっと無言だが音楽は流れる。
なぜかボロトラックの荷台で寝ている顔の怖いおっさんのシーンを長く見せられる。
風景が「ステップ気候」というやつ。羊を一匹運び、そこに翼のない飛行機。いったい何を見せられている?
このおっさんのやることと挙動が意味不明。タタール人?モンゴル系?調べてみたらカザフ人らしい。ということはカザフステップだったのか。
搭乗するトラックや機材、家屋などを見る限り、1950年代以前が舞台?なにせ喋らない。字幕すらもない。説明しない。
草原の中にぽつんとある農家の娘がエレーナ・アン。ふたりは親子?まったく会話がない。喋れない?この父親からこの娘が生まれる?そんなことある?
中学生ぐらいの女の子。やっぱり馬に乗せてくれる男の子が近所(?)にいる。両者は笑顔を交わしたりはする。
家から見える範囲内で通りかかったバスが故障したりすると人が訪問してきたりもする。井戸水を分けてあげたりする。
礼ぐらい言え。これがソ連か。黙ったまま勝手に少女の写真を撮るな。
少年が取り出したカメラがウクライナ・ハリコフ(現ハルキウ)で生産されていたライカコピーのフェドだ。少女はカメラを向けられても微笑んだりしない。表情が死んでる…。
夜にカメラ青年が現像したフィルムをもってこっそりやってくる。(どうやって?)フェドに入っていたのはスライドフィルムだったのかよ。
これは人生が退屈の極みに違いない。と思いきや、少女なのにトラックの運転はできるのか。
映像のみから推測すると、どうやらスターリン時代の核実験を描いた映画?
あのカメラ青年は放射性物質を持ち出してトラック荷台に積んだままにしてた?父が被ばくですごく体調悪くなって虫の息?
猟銃で空砲。近所の乗馬少年に助けを求める。医者がやってきて父をどこかへ搬送。
配達された手紙は父の訃報?と思いきや、父は元気になって帰ってきた?!でも結局また倒れてそのまま死亡し草原に埋葬?
少女があんな場所でひとりぼっちになって、これからどう生きていく?と想いながら見ていた。やっぱり家を出て行くしかないか。
そのトラックの燃料はどこで給油してる?と思ったら、やっぱり途中でガス欠。少女はステップをさまよい歩く。すると有刺鉄線。
少女は結局隣家の嫁に?カザフ少年とロシア少年の三角関係と殺し合い?草原で原子爆弾がさく裂?!
何がどうなってる?もう全部推測するしかない。それでいて答え合わせもできない。
少女の衣装を見て、自分はYMO「テクノデリック」というアルバムを想い出した。
この美少女モデル女優は韓国人とロシア人のハーフ。2019年に日本で日焼け止めのCMに出たことがあったのだが、なぜかほぼ無風だった。日本人はあまり親しみを感じなかったか。
タルコフスキーやパラジャーノフを一通り見た流れでこの映画も見てみた。詩情と恐怖と、ふつふつとした怒りは感じた。
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