2023年8月13日日曜日

シン・仮面ライダー(2023)

3月に公開された庵野秀明監督脚本作「シン・仮面ライダー」(東映)を見る。これは7月にはもうアマプラで配信されたので結果多くの人が見てる話題の映画。
公開直前にはNHKで庵野監督以下スタッフたちに密着したドキュメンタリー番組まで放送された。

原作は石ノ森章太郎のマンガなわけだが、70年代に仮面ライダーシリーズを見て育った人々はおそらくもうすでに50代になっている。だがその後2000年代になると多くのシリーズが毎年作られるようになった。

ちなみに本映画にサソリオーグ役で出演している長澤まさみ(公開日までその出演が明かされておらず、観客の多くがエンドロール見るまで長澤まさみだと気づかなかったというw)は以前にパーソナリティーをつとめていたラジオ番組で「とんねるず」によるパロディ「ちびのりだー」なら知ってるけど仮面ライダーは知らないと発言したことがある。80年代生まれはエアーポケットのように仮面ライダーシリーズを見たことがないという世代。
長澤まさみがまさかショッカー怪人役だとは思いもよらなかった。だが、まさみが出てると知ってこの映画を見に行った人は失望したと思う。出演時間は1分ほどではなかったか?
脇役の、中ボス敵キャラの中でも雑魚キャラの部類。セリフの発声方法も造形もイッちゃってた。このへんの演技は庵野監督によるものだっただろう。

もっと「キューティーハニー」のサトエリのように肉感エロスを感じたかった。リムジンから降りるときの脚の描き方のみが正しい長澤まさみの使い方だった。

だが、自分は十分に面白かった。国民的人気女優を使ってこんな撮り方をするのは庵野監督しかいないのでは?と感じた。
それぐらいこの映画は描き方と演出、各キャラのセリフの言い方、どれも80年代からアニメの第一線でバリバリ働いていた庵野監督ならではの個性による名(迷)シーンと名画カットの数々。

この映画の前半は強い個性を持ったイッちゃった中ボス的キャラを次々に倒していく展開が楽しかった。それが仮面ライダーやウルトラマンや戦隊ヒーローシリーズの正しい楽しみ方かもしれない。
そのクライマックスがハチオーグ役の西野七瀬だった。この敵キャラはヒロイン緑川ルリ子(浜辺美波)と同じくショッカーで育ち過ごしたお友だちの間柄?
まるでヤクザの組事務所のようなフロアで余裕の会話(こういうのマンガアニメやSFでよくみる)は楽しかった。会話センスや役者たちの動きと言い方が。

キャラ造形とキモノ衣装のセンスも良かった。必要ないものはそぎ落として最終的に選んだ形態が素晴らしい。さすが庵野監督だ。
なにより、映画での西野七瀬には毎回感心させられる。その空気感と振舞方と表情雰囲気とセリフの言い方に。なにもかもがピタッとハマっていたように感じた。西野はおっとり天然な雰囲気でありながら、おそらく相当に頭が良い。

おそらく自分もこの西野七瀬に命じられたら、正義と悪の感覚がわからなくなったまま盲従する違いない。従いたいというより従わせられたい。今の自分にはそれぐらい西野が美しく見える。

そして本作のヒロイン浜辺美波。登場からずっと笑顔みせたり冗談言ったりもしないムッツリ美少女。さすが今現在日本における若手トップ女優だ。浜辺のセリフと表情がすべてのシーンでハマっていた。(こんな美少女たちにプラーナを捧げたい…)
表情のアップに耐えるクオリティの美貌を持った若手女優は貴重。浜辺にストイックさを感じた。
(浜辺美波は賭ケグルイでは松村沙友里と、仮面ライダーでは西野七瀬と対決したことになる。乃木坂を倒す存在)
ところでプラーナって何?そのへんの世界観を他人に説明できるほどになるには、もっと真剣にセリフを聴きながら見る必要がある。
自分は酒飲みながらハンバーガーと焼きそばつつきながら見てたので、それほど語れるものを持っていない。

映画の流れに身を任せていればそれで充分楽しかった。だが、それは前半のみ。後半は仮面ライダー2号(柄本佑)が登場。そしてラスボスでヒロインの兄森山未來との死闘。
日本のアニメやマンガは戦いながら議論するのが伝統。そういうシーンを見ると「またか…」とテンション下がる。それに何が何だかわからない。
ロボット刑事みたいな人工知能ロボットの声が本郷奏多だったとは見終わるまで気づけなかった。

しかし、それでもこの映画は十分に楽しい娯楽作だった。庵野監督作には時間の尺をかせいでいるだけに感じるムダシーンがほぼない。ストーリー的に2回目見るのはキツいけど。

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