2023年8月15日火曜日

西野七瀬「シャイロックの子供たち」(2022)

池井戸潤「シャイロックの子供たち」(2006)を原作とし、2022年10月から全5回で放送されたWOWOWドラマ「シャイロックの子供たち」を見る。
脚本は前川洋一、監督は鈴木浩介。音楽は木村秀彬。

ぜんぜん見たいドラマじゃなかった。西野七瀬が出てるので録画しておいた。ようやく重い腰をあげて見る。

とある銀行の支店で発生した現金紛失事件と不正を描く群像劇。ぜんぜん見たいという気が起こらない。そもそも池井戸潤の描く企業小説世界が好きじゃない。カネカネカネの日本企業社会を映画やドラマでまで見ようとか、世の中みんな病んでいる。
なにがいけないかって、イノセントでかわいいなあちゃんがお金を盗んだとして責められている予告編。こんな地獄みたいなドラマを誰が見たいのか?

第1話の前に第0話。え、銀行の中堅社員の水死?シーンから始まるの?それは暗すぎる。

東京第一銀行の冷徹人事部調査役メガネ坂井(玉山鉄二)が失踪した課長代理と現金100万円紛失事件を追い始める。上司に調査を報告。行員全員の人柄や家族も把握。この坂井の独白回想が始まる。

そこから先は明るく真面目で誠実な中堅行員の圧倒的に雰囲気の悪い職場での転落場面回想シーン。寒色トーン。

長原支店ののんびり気さく課長代理西木(井ノ原快彦)は出世街道にいないのだが部下から信頼されている。怒鳴る支店長や幹部たちに利用され、消せないバツ印が記録に残り出世コースから追いやられる。
銀行内部ってこんなにギスギスしてんの?!やっぱり見たくない。
井ノ原はアド街でしか見ないけど平田満に似てきてるな。
坂井は長原支店へ出向いて一人ずつ個人面談。鼻持ちならない検査部出身のエリート九条支店長(前川泰之)、上司にはヘコヘコし下の者には声のデカいパワハラ気質の副支店長古川(萩原聖人)、部下の使い込みを見抜けなくて出世コースを外れた長原支店・融資課・課長代理竹本(三浦貴大)も出世コース外行員。そして成績トップのエース行員滝野(加藤シゲアキ)。
こいつら、何かを知ってるっぽい。坂井は1人1人を蛇のような目で観察。顔が怖い。こいつは何かを見抜くお奉行か。

真面目な女性行員北川愛理(西野七瀬)は坂井との面談で、個人的な考えと限定しつつ「西木さんは事件に巻き込まれたのでは?」と伝える。かつて長原支店内で現金100万円の紛失事件の犯人と疑われてしまった。涙ながらに無実を主張。

カネカネカネ!で鼻持ちならないやつらの魑魅魍魎の棲む銀行。人の心を蝕む。こんな地獄みたいな職場なら、親御さんは子どもたちを働かせてはいけない。関わってはいけない。もう銀行に金を預けるな。
てかもう高額現金紙幣にはマイクロチップ埋め込めよ。
投信の販売目標が達成できていないことで古川副支店長から胸倉つかまれ叱責されても反抗的な小山(森永悠希)。たぶん第1話エピソードの主役。

小山は古川に突き飛ばされ頸椎捻挫。刑事告訴されるかも…と怯えて父(会計事務所経営の金持ち)の自宅に謝りに行く古川は、西木も連れて行く。古川の振舞が見苦しすぎる。西木と北川を巻き込むな。
てか、高卒で銀行に入行して苦労して…というエピソードを周囲に語るな。たぶんこの古川副支店長が諸悪の根源。

止めるのも聞かない支店長に押し切られ決定した融資が焦げついたのに責任を取らされるエピソードの天丼。これが銀行の日々か。
なんか、銀行勤めの人々がぜんぜん幸せそうじゃない。カネ、ノルマ、成績、出世で競わされる犬。何を好き好んでこんな仕事を…。ってまあ豊かな暮らしのためか。
北川が100万円が行内で紛失する事件に巻き込まれるとか、思わずスキップしそうになったわ。行員たちの慌てふためくさまが見苦しい。ロッカーの私物までチェックされるとか佐渡金山かよ。帯封が見つかっただけで犯人扱いとか昭和の冤罪刑事かよ。6万円のゴルフクラブを彼氏の誕生日プレゼントに購入したレシート見て「金遣い荒いな!」って、上司たちも悪意の塊。

西野七瀬を泣かすなよ。こういう役を演じるとメンタル病まないか?
北川を信用する西木は犯人を捜査開始。どうやらこの100万円の件で西木は消されたっぽい。 

同じ職場の恋人(矢野聖人)の行動が謎だし、半田(早見あかり)、伊島社長(橋本じゅん)はどう絡む?
女性ロッカー室に侵入して帯封を北川ロッカー内のバッグに入れるという行為は、見つかったときのリスクから考えて男には難しかろう。となると犯人は女。もしくは男の犯人がいて共犯者が女…。(と思ってたらもっと単純な男女の痴情のもつれw)
水田信二(和牛)社長の銀行同士を争わさせて手玉に取る手腕は呆れるというよりも感心。
「もうちょっと金利を安く…」と言い始めたところで三浦貴大はもう銀行員を諦めるべきだった。
しかしその直後に胸のすくラッキーパンチ。見ていて気持ちいいかもしれないけど、外部の変化のおかげじゃん。
あと、加藤シゲアキ、どんどん人相が悪くなってるな。

支店長と支店のトップたちの隠ぺい体質も見ていて胸がむかむかする。西木だけが正常。犯人を見つけ出さないと支店の全員がずっと疑心暗鬼のままだろ。(あのキリッとした女課長代理は安藤聖さんだったのか)

水橋研二検査部次長は金の流れに鋭くて頼りがいあるな…と思ったのだが、触れられたくない過去とその証拠で返り討ち。銀行ってこんな悪魔の組織なのか。

人事部坂井の玉山鉄二が重厚な演技ですばらしくて驚いたし感心した。人事という仕事の責任の重さを伝える役として適任だった。この役者にはこれぐらい重みのある役がふさわしい。
ヒロイン西野七瀬行員が思ってた以上に出番があった。西野は首が長くてすらっとスタイルが良く見える。いつも見るたびに胸がときめく。
西木失踪では名探偵ぶりを発揮して坂井と一緒に有能捜査。西野七瀬もすばらしい女優ぶりを発揮。ヒロインはこうでなくっちゃ。

西野七瀬が見たいんであって、こんな不正融資事件を見るのイヤだった。とにかくドラマ序盤は見ていて不快でキツかったのだが、そこを通過すると楽しめるようになる。
これは十分見ごたえあった。西野七瀬が見たい!という人が見ても十分楽しめる。オススメする。

すべては達成不可能な成績目標ノルマのせい。ビッグモーターも同じ。査定にマイナスとなる事件は現場が何事もなかったかのようにしてくれる。この課長たちはどんな社員教育を受けてきたんだ?なんで銀行に入ったんだ?出世と金と名誉か。

その総決算が2020東京五輪だった。東証株価と一般市民の暮らし向きは何も関係ない。福祉のために増税しても福祉は良くなってない。増税しないともっと酷いことに?
ではもう政権運営を担う能力がないのでは?

カネカネカネ日本の敗北。さあ、来年の大阪維新万博が見もの。どんなに大損こいても税金による補填はいっさいするな。なんなら東京は五輪での損を取り返すために大阪に高利で金を貸してやれ。
あと、金を貸す側に都合の良い連帯保証人制度は早く廃止するべき。

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