2023年8月1日火曜日

福本莉子「今夜、世界からこの恋が消えても」(2022)

映画「今夜、世界からこの恋が消えても」(2022 東宝)を見る。原作は一条岬。監督は三木孝浩、脚本は月川翔松本花奈という、それなりに力の入ったアイドル映画。香港や台湾、韓国でも公開。とくに韓国ではかなり話題になったっぽい。
主演は道枝駿佑(なにわ男子)福本莉子。音楽は亀田誠治

ヒロイン真織(福本莉子)が暗いうちにけだるそうに目を覚ますとあちこちに貼られたメモ書き指示を読む。パソコンを開いてさらにいろいろなことを確認。
事故により眠ると記憶を失うらしい。これ、福本の事務所の先輩まさみの「50回目のファースト・キス」(これもリメイク作だが)と同じような設定。

両親が野間口徹と水野真紀。水野さんは福本の事務所の大先輩。だいぶ年取ったなあ。野間口さんがヒロインの父親というの初めて見た。
え?記憶障害?昨日のこと覚えてるけど?!どうやらこのヒロインは3年かけて障害が回復傾向にある?!

江の島が見える海岸をランニング中の泉(古川琴音)にヒロインはすかさず電話。昔からの親友のことは忘れていないらしい。
自分の知ってる古川史上いちばん若く見える。宮崎あおいに雰囲気が似てる。

ヒロインは押し入れから見つけたクロッキーについて質問してみる。このモデル男子誰?泉ちゃんはすっとぼける。この男子については日記にも書かれていない…。
どうやらミステリー風味のある青春純愛ラブストーリーっぽい。自分の予測が正しければ、この男子はすでに死んでいる…。

講義室で神谷透(道枝駿佑)はヒロイン真織に嘘の告白。この男はイケメンなのに気が弱いのか。何かの罰ゲームか?こんなことする大学生がいまどきいるのか?F欄ならいるのか?と思いきや高校生?いじめられてる友人を護るために嘘の告白?なんかその状況はピンとこない。

この少年は父と二人暮らし。父(萩原聖人)が小説家志望。文芸誌の新人賞に応募し続けてる?萩原聖人がキングカズに似てきている。亡き母が野波麻帆か。東宝芸能女優だらけだ。

告白が動画として拡散。透くんは真織に告白が嘘だったことを打ち明けるのだが、真織さんは「じゃあ恋人のふりをするってのはどう?」「条件がある。放課後までお互い話しかけない。連絡は簡潔に。本気で好きにならない。」
ああ、女の子の方が男を自分のペースに巻き込むドラマか。「ただ、君を愛してる」と似たような雰囲気。男子が愚鈍。ただし、ヒロインは周囲の注目をあびる学園の美少女?!
この美少女はすでに事故により記憶が1日持たなくなってた。疑似デートもメモと日記に書かれた情報としてしか記憶していない。
今の高校生にはカメラつきのスマホがあってよい。すべてを知る親友泉ちゃん(家が金持ち)がいてよかった。しかし、高校の授業についていけないのでは?

湘南海岸公園でピクニック中にヒロインはうっかり昼寝。そして目覚めてパニック。いや、高校生ならその状況を推測しろ。逃げ帰ろうとして迷子になるな!
この暗転パターンは昔からあるベタ展開。男子としてはわけがわからない。疑似恋人の3つの条件とは交際するため必要な条件だったのか。それにすべてを知った上でヒロインを支え恋を応援する親友の存在。
「タイヨウのうた」と似た雰囲気。やはり湘南が舞台。湘南モノレールの出てくる映画。

てか、ふたりの会話を動画に撮ればいいのでは?ああ、毎回毎回見て確認する時間はないわけか。メモノートに書き起こしたことを確認するという涙ぐましい努力の日々。
そして男がヒロインの秘密を知らないようで実は知ってるという、男が上手の状況。自分が高校生だとしてこんな事態に対処できるような人間力はない気がする。

そしてこれらはすべて、綿矢泉が真織の日記を読んでいるという状況。
泉と真織には共通の趣味(?)がある。マニアック純文学作家西川文乃(松本穂香)を尊敬。
だが、この作家は実は透くんの姉。芥川賞候補作家の娘と、娘が純文学作家だとは知らない作家志望の無職父。それはザワつく設定。けど、そのへんの家族ドラマに深みはない。この家族の時間が見ていて楽しくないし面白くない。

姉に記憶障害の彼女の話をしたら小説のネタにされるのでは?と心配になったのだが、タクシーで別れ際に弟の健康を気遣う。え?!
なんだか全容が予想できてきた。しかし、ヒロインに記憶がなくてはたしてその悲しみは実感できるのか?!

透の姉の芥川賞結果発表を真織の家で待つ会。両親に内緒でその男を部屋に入れるのかよ。「下着とか漁っちゃだめだよ。ちょっとならいいけど。」なんだこのラノベ。
男はヒロインの病気を学び将来を考える。これも「タイヨウのうた」。

大切な友のためにすべてを見て知って取り残される親友という古川琴音は準主役以上の活躍。
ついてもいい優しい嘘とはいえ、しかしそれは私文書改ざんによる記憶の改ざん。真実というものを軽く見てはいけない。そこ、子どもたちが見る映画としてあまり感心しない。こんなことに感動してはいけない…と思って見ていたら、そこは良識ある日本映画界の人々。ちゃんと修正してきて安心。

記憶喪失モノは昔からあるのだが、近年は短期記憶ループに置き換わりつつある。でもそれも食傷気味。

男は色白もっさりヘアーで顎がシュッとした韓国俳優風になりつつある。脚本も設定も演出も韓国キッズにウケそうななめらかスベスベな面取と造形。
終盤が長く感じて退屈。いくら感動作風の音楽が流れてても自分はダマされない。こんなドラマで感動できるのは十代限定。
愛する人が突然死んでしまえばこれ以上の悲劇はない。同じ事務所の浜辺美波がこれと同じような「君の膵臓を食べたい」でブレイクしたように、福本莉子も「世界からこの恋が」でブレイクしてほしかった。
主題歌はヨルシカ「左右盲」(ユニバーサルJ)。

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