2023年8月29日火曜日

清原果耶「マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜」(2019)

「マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜」(2019)が今年の8月11日にBSプレミアムで再放送されたので見た。もう4年前のドラマなのか。
長田育恵の脚本、柴田岳志の演出。制作はNHKエンタープライズ。主演は岸惠子と清原果耶。(NHK総合での本放送はまったく見ていなかった)

太平洋戦争末期、フィリピン・マニラで貿易会社のタイピストとして働いていたヒロイン。ルソン島北部へ逃れ戦闘任務を負わされて…という実体験に基づいたフィクションドラマ。
フィリピンから引き揚げた日本人の体験ってあまり聞いたことなかった。

戦争中なのにマニラは日本よりも豊か。ここで働くヒロイン凛子(清原果耶)は充実した毎日。
母親がフィリピン人でフィリピン育ちの同僚の綾(山口まゆ)と年も近くて仲良し。この子は大和なでしこに憧れの感情を持つ。
日本にはない大きなマンゴーの木の下でピクニック。
ここで戦前は一般庶民が、まして娘が持つには贅沢すぎるカメラでスナップ。東京を出る時に父が貸してくれたカメラ。
この時代、カメラを渡されたからって代わりにカメラを扱うなんて無理。この少女たちはよほど進んでる。

突然、マニラにも米軍の空襲。人々が逃げ惑う。凛子は綾と離れ離れ。

時代は平成元年。戦後内地に戻った二人、凛子(岸恵子)と綾(渡辺美佐子)は小さな写真館を営んできた。凛子は今もあの時のことを悪夢で見る。綾も亡くなった。
再開発地上げ不動産会社社員(林遣都)に店の売却と閉店を決意。 バブル時代の話なのか。さすがに令和の今ではもう戦争体験者の物語はつくれないのか。

岸恵子さんも渡辺美佐子さんもまだ現役だったのか。久しぶりに見た。とはいってもこれは4年前のドラマだが。
この二人は市川崑の「悪魔の手毬唄」(1977)で共演してる。この映画は今もよく見返す。

写真機材業者の伊東四朗さんがやってきて思い出話とこれからについての話。(この人はコメディ要素)

そこに綾あての弟(フィリピン国籍)からの手紙。現在は大家族。フィリピンに来ないか?「綾は私と出会わなければ幸せだったかもしれない」
内地に帰り着いたとしても日本は悲惨。その一方でフィリピンは60年代ぐらいまでは東南アジアで一番発展して豊かだった。
昭和20年のルソン島の日々の回想。
なでしこ隊の凛子隊長が凛々しすぎ。男以上にイキリすぎで怖い。
生き別れてた綾と再会。お互いなんとか生き延びてた。しかし、綾の母は爆撃で亡くなってた。弟も死んだ。日本軍に従って逃げてた綾はフィリピンの混血なのでスパイだと疑われて酷い目。川で洗濯してるとそこに米軍機の機銃掃射。

日本兵が現地民の畑から芋を強奪するという地獄。それは恨みを買う所業。数人のグループで密林の中を歩いて逃げる。精神がおかしくなる人も。
餓えのあまり甲虫を見て「食べられるかな?」あまりの浅ましい光景に泣く。なでしこ隊は分解。
そして追い込まれた惨めな日本兵も襲い掛かってくる。これは生き延びるのが大変だ。
そしてヒロインが憧れていた支店長の遺体を発見。

そして日本降伏。日本人は罵声をあびて収容所。悲惨な光景が終わらない。
綾はフィリピンに残ることもできる。しかし凛子は綾を日本へ連れて帰る。これは正しい判断だったのか?凛子は今も迷い。
綾の弟の孫娘が凛子の写真館にやってくる。フィルムの入った古いカメラを持って。
ええぇっ?暗室現像したら昭和19年の楽しいフィリピンでの日々が画像として浮かび上がってきた?!

という、昭和19年20年と平成元年を行き来するドラマ。こういった単発スペシャルドラマで実績を積んだ清原果耶は3年後に朝ドラ主演女優となる。

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