1992年の映画「きらきらひかる」(フジテレビ、ヘラルドエース)を見る。監督脚本は松岡錠司。
これ、遠い昔に一度見たことがある。あまり覚えていない。数年前に江國香織の原作は読んだ。アル中イタリア語翻訳家ヒロインと、同性愛者の夫、その恋人大学生の三角関係を描いたドラマ映画。
薬師丸ひろ子、豊川悦司、筒井道隆という当時の人気俳優3人を集めた話題作。ポスターのイメージ写真の構図が80年代ぽさを感じさせる。
岸田笑子(薬師丸ひろ子)はメンタルのクリニックの帰りに母(加賀まりこ)から見合い相手の写真を見せられる。「いい人そうじゃない」「お医者さんだって」
岸田睦月(豊川悦司)は同性愛者で藤島紺(筒井道隆)とつきあってる。「その気がないなら断れ」と口論。
お見合いの席でなぜか笑子は睦月にケンカ腰。その後の「若いもんだけで」シーンでもケンカ腰。
薬師丸ひろ子さんが公開時に25歳。ということは現在の齋藤飛鳥と同じ年じゃないか!と驚く。若いころの薬師丸さんはすごく声が高い。高いところでころころと転がるような声。
あたりまえだがみんな若い。なにせ30年前の映画。津川雅彦さんですら若い。
駅のベンチで女「心の病気で通院していた」男「男とつきあう人なんだ」両者カミングアウト。J.S.バッハ「イタリア協奏曲第3楽章」が軽快に流れて映画タイトルが出る。え、次のシーンではもう新婚?!カットと場面転換がもうすでに現代的。
ヒロインは深夜の仕事中にも酒。ほぼアル中。BGMがモーツァルト「魔笛」から「夜の女王のアリア」。
笑子に仕事を依頼する出版社の人が蜷川幸雄さんだ。自分はこの人を頭に血が上って灰皿を投げる演出家としてしか知らなかった。
この時代はまだケータイ電話がない。人々が連絡を取ろうとすれば10円とか100円入れる電話。ファミレスに置いてある電話ってあんなんだっけ?と驚く。
どうやら睦月は紺を笑子に紹介しようとしてるのだが、紺は会いたくないらしくすっぽかす。
ヒロインがウェイトレスとすらケンカ腰で驚く。柴田理恵さんがウェイトレスの1人として出演してる。
紺が電車の中吊り広告を取り換えるバイトしてる。このシーンだけが自分の記憶に残っていて驚いた。
笑子は大学まで紺を訪ねる。ゲイ筒井道隆がとにかく性格悪そうな顔をしてる。この俳優は90年代にたくさんドラマに出てた。筒井と豊川のハードゲイキスシーンがあって引く。
睦月の父親が川津祐介さんだ。近年まったく見ないな…と思って調べたら、昨年2月に亡くなっていた。
睦月の職場の先輩医師が阿藤海さんだ。この人も近年まったく見てないな…と思ってた。2015年に亡くなっていた。
薬師丸さんがタバコを指に挟んでウィスキーをグラスであおってるシーンが良い。カッコ良いし雰囲気が好き。
睦月が帰宅すると笑子が蕎麦打ちして切っている。そこに風呂上りの紺。初めて3人一緒がそばパーティー。ここでもイタリア協奏曲。
紺はファミレスで独り歌唱。店員に注意されブチギレる。このシーンもなんとなく覚えていた。え、あのハンバーガーショップ店員て六角精児さんだったの?!
笑子は睦月が同性愛者だと分かった上で結婚した。夫婦関係のない仮面夫婦。それを知ってるのは睦月の両親のみ。
笑子は昼間からファミレスでビールジョッキ5杯という飲んだくれアル中。酔っ払い薬師丸さんがとても可愛らしい。この人は若いころからとても演技が上手。感心するほど上手。
睦月は笑子の友人(大島智子)に男友だち(恋人)を紹介してくれるように依頼。これには相手も怪訝な顔。
自宅が職場なので昼間から酒をあおるように飲む。風呂でも飲む。笑子はどんどんぶっ壊れていく。事情がわからない周囲は「子どもをつくれば?」とピントのずれたアドバイス。笑子は嗚咽。
阿藤快医師に人工授精について相談…というシーンで、看護婦さんを見てもしや…と思った。「1999年の夏休み」で和彦くん役だった大寶智子さんだ!ワンシーンのみの出演でびっくり。
3人で海。海に入って濡れてしまい、パンツ姿のままレストラン…というシーンも面白くて覚えてた。だが、深夜ドライブしてるとなぜにシマウマ?!
夫婦の実態が笑子の両親にバレる。見合い結婚だと「身上書にそんなことは書かれてなかった」と罵り合う大モメトラブル?
睦月は紺と別れる決心。そして笑子とも別れ。夜から明け方の薬師丸さんの疾走。コンビニampmが懐かしい。
この映画をながらく忘れていたけど、いやこれ楽しく面白い映画。演出も雰囲気も古さを感じさせない。好き。
唯一の欠点はシンセによるBGMと。あと、ウェイトレスの個性とクセが強いな。
あと、撮影助手に前田哲監督の名前もあったことに気づいた。
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