ギオルギ・シェンゲラヤ監督の「放浪の画家 ピロスマニ」(1969)を見る。
グルジアの国民的画家ニコ・ピロスマニ(1862-1918)の伝記映画。全編グルジア語のソ連映画。1978年に日本でも公開されたらしい。
レストランで食事をする男二人。壁にかかった風変わりな動物の絵に目が止まる。あの絵はなんだ?「チフリスの気候を生きられなかったキリンだ」「誰が描いたの?」「ニコロだ。ここではみんな彼を知っている。」「彼は今どこに?」「しばらく見てない。死んだのかも。」
このふたりがピロスマニを探す。
お金をいくらか貯めて帰ってきたニコロはディミトリと一緒にチーズなど乳製品のお店を開く。店の入り口には白と黒の牛の絵が対になって飾られる。
故郷の村から姉とその夫がやってくる。ニコロに縁談をもたらす。
野外での結婚式がピロスマニの絵画で見たまさにそれ。牛の角のようなグラスでワインを飲む。ワインが豚の胴体のような袋に入っている。踊りが始まる。
なんだか魅力に乏しい暗い新婦だ。なにやらみんな浮かない顔してる。一体何がどうなってる?小麦粉が目当て?!
ニコロの商売はたぶん上手くいかない。貧しい人々に無償で分け与えるから。なんだかみんなずうずうしい。あっという間に店じまい。だが、あの牛の絵が売れる。
ピロスマニが絵を描く風景ってこんな感じだったのか。街の人々がみんなわりと親切。街のあちこちにピロスマニの描いた看板。よほど街の人々から好かれていたらしい。
画家たちにもピロスマニは発見されてしまう。会合でピロスマニは街の中心に家を建ててサモワールを買ってお茶を飲んで美術について語ろうと提案。
映画の各所にピロスマニの絵画で見たヤツが何気に登場していてアッと驚く。画家の生涯を描くとこういった表現になるのかもしれない。
あれっ?いつの間にか街がピロスマニの知らない街に変わってしまってる。ピロスマニの絵はどこへいった?
新聞にピロスマニの絵を揶揄するマンガ。ピロスマニが軽んじられている。老いていく。なんだか急に切ない。
画家ピロスマニを知るうえで絶対に外せない映画。どのカットも絵画のようで芸術点の高い映画。静かな映画。
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