2023年7月13日木曜日

福本莉子「20歳のソウル」(2022)

2022年5月公開の「20歳のソウル」を見ておく。中井由梨子「20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド」(幻冬舎文庫)を原作とする映画。
船橋市立船橋高等学校吹奏楽部の実在した少年(20歳で死去)と部員たちの人間模様を描く青春映画。
監督は秋山純、脚本は中井由梨子。主演は神尾楓珠。配給は日活。朝日新聞社も協賛。

中学高校文化系部活動最大派閥「吹奏楽部」の強豪校映画。部活動強豪の部活動の活気と必死さってすげえな…という。でもそれは序盤のみ。

部活顧問せんせいが佐藤浩市なのだが、これはいけない…という痩せ方と老け方だ。
吹奏楽部がよさこい踊るだと?これが市船の方針と伝統?主人公グループ4人は戸惑う。高校の音楽の中年男性教師ってアクの強い変わった先生が多い。中学からの仲良し斗真(佐野晶哉)が早々に脱落。

しかし、呼吸を合わせる、音楽を合わせるという極意は全体マスゲームダンスにあるということはわかる。それでいて音楽の基礎と演奏技術が身につく。それは十代には有意義かもしれない。

主人公大義くん(神尾)が美少年にして熱血。野球部応援のための曲を書く。それは才能あふれる高校生だ。しかし、この曲で応援すれば間違いなく勝てる!は言い過ぎ。
頑張る目標が見つけられない斗真くん自殺騒ぎ。高校でそんなことを?それは迷惑だ。部活がすべてという高校ってそんななの。

吹奏楽部練習風景が全員ジャージだ。高校生にしてはみんな最初から音程感が良い。さすが強豪校。しかし、コンクールで全国大会へ行くためにギスギスしすぎ。できなくて泣き言生徒。それはストレス。
音程リズム音色を一流にするためには管楽器はひたすら音を出すしかないのでは?

そんな日々がやたら暑苦しく熱血ポジティブに描かれてる。自分はこういう団体活動できないわ。
主人公のおっかさんが尾野真千子、祖父が平泉成。平泉さんがずいぶん年を取ったように見える。

福本莉子はいつ出てくるんだ?と思ってたら、主人公が大学に入ってから登場。福本は彼女か。音楽教師を目指すということは教育学部の音楽科か。
しかし、主人公はよくない咳をしてる…。
高橋克典先生から改まって病名を告げられる。え、肺に悪性腫瘍?それはもう癌みたいなものでは?
それは本人もビビるし周囲もビビる。抗がん剤で腫瘍を小さくしてから摘出手術という方針。本人は不安だし怖いし、親は学費と治療費でたいへんだ。

吹奏楽部青春ドラマかと思ってたら、がん闘病ヒューマンドラマ。
だがこの主人公は母校市船に愛情を持っている。OBとして野球部の応援に帰ってくる。そしてまたブラスバンド。先生から曲を書くよう依頼。

けどやっぱりがん再発と脳へ転移で倒れるという重い絶望ドラマ。
20歳で死んでしまう若者に、市船吹奏楽部での輝ける青春があってよかった…という物語。

とにかく長い。そろそろ終わりか?というところからさらに30分ぐらい続く。自作曲で演奏会というクライマックス…かと思いきや、さらに湿っぽい合唱葬、ブラスバンド葬、市船葬。
才能あふれる若者が死にました→みんなでおいおい泣く。という映画。ひたすら気が滅入る楽しくない映画。

あんまり福本莉子の出番がなかった。2021年から22年にかけての神尾楓珠くんの活躍はすごかった。

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