「1999年の夏休み」(1988 松竹)を見る。1988年から近未来1999年を見る映画。タイトルからSF映画のように感じるかもしれないが、寄宿学校の少年同性愛映画。
これ、古い映画だけど今も大変に有名。監督は金子修介。脚本は岸田理生。音楽は中村由利子。
金子監督が後に平成ガメラシリーズなどで巨匠監督扱いというのもあるけど、公開当時からカルト的人気映画。(撮影助手に篠原哲雄の名前がある)
萩尾望都「トーマの心臓」にインスパイアされ翻案したとあるけど、原作の雰囲気のみを利用させてもらったという感じ。当時の日本に、高原の男子寄宿学校ドラマなんて発想は他になかった?
「トーマの心臓」はこの映画に影響されて買って持ってたけど、もう失われたし何も覚えていない。
自分、この映画が好きでたぶん15回ぐらい見てる。
たぶん初めて見たときはVHSビデオテープ。学校から帰って暇なときに見てたし、池袋文芸坐でオールナイトでこの映画をやったとき見に行った。(親に怒られた)
ここ15年ぐらいまったく見てなかった。正直忘れてた。(DVDがTSUTAYAにも置かれなくなってたし。)
だが、2018年に30周年記念としてデジタルリマスター版が上映。一部では熱心なこの映画のファンが押し寄せたらしい。WOWOWで放送されたのでやっと見れた。
1999年夏、山の中にある全寮制男子校が夏休みに入り、生徒と教職員も全員帰省。3人の少年だけが残る。(そんなこと防犯上ありえる?もし病気になったら?)
この学院では最近、悠という2年生が行方不明になっていた。近くにある湖に落ちたとされた。遺体は発見されず。
そんな夏休み、居残り3生徒の過ごす学院に悠そっくりの薫(宮島依里)がやってくる。
それはザワザワする物語設定だ。
ロケ地はずっと行きたいと思っていた。自分が初めてこの映画を見た当時から、この学園のメインのイメージが横浜の大倉山記念館であることは知っていた。だが結局一度も大倉山には行っていない。学生の頃は横浜がすごく遠いイメージだった。
ベーリックホールは行ったことあるのだが、そのときはまったく「1999年の夏休み」ロケ地としての認識がなかった。
そして映画の冒頭と最後に登場する単線の鉄道。これは2007年に廃線になった鹿島鉄道線。
(「そのときは彼によろしく」ロケ地巡礼で駅舎も線路も撤去された後の玉造町駅には行ったことがある。)
出演者キャストが4人のみ。本当に他に誰一人、写真すらも登場しない。音声がアフレコ。
当時15歳だった最年少則夫役の深津絵里さんが水原里絵名義で出演している。とても初々しい。
和彦役の大寶智子(声の吹替えは佐々木望)は現在も女優として活躍中。
ほぼ主演の薫役は宮島依里。この子のその後を自分はまったく知らなかったのだが、この方は後に声優になったそうだ。洋画の吹替えなどで主に活躍。
薫の声の吹替えが高山みなみさんだ。この声優は80年代から活躍してたのか。
一番長身だがどうしたって男子には見えない直人役の中野みゆき(声の吹替えは村田博美)さんは、自分はまったく知らなかったのだが、後にバレー選手だった川合俊一と結婚してたのか。結婚後は引退したらしい。
この映画が今見ると、出演者が4人の少女女優ということもあってやっぱり舞台作品ぽい。セリフの言い方と間合い、挙動も。
ブラウン管モニタで自習している教科が不明。もしかしてプログラミング?
蜂を見ただけでパニックになる女の子って多い。
この映画を初めて見たとき、自分はもうすでにヘッセ「デミアン」を読んでいた。しかし今もよく理解できてない小説だ。
学院の近くに落ちると死体が上がらない池と崖があるとか危ない。なぜ接近禁止にしない?
悪夢にうなされた和彦くんが突然気を失って、直人がマウストゥマウスで人工呼吸とか違和感。
3人が演奏してる室内楽曲はベートーヴェン「大公トリオ」第1楽章。自分、この曲を初めて知ったのがこの映画。
鹿島鉄道線の出すブシューンブシューンという音の正体を知りたい。
直人が薫と母の電話会話を盗み聞きするシーン。昔見てた当時は内線電話のしくみがわからず、薫が独白芝居してることに直人が気づいたとわからなかった。
今になって見返してみて、直人がかなり鋭くて怖い。
昔よく「この状況ヤバくね?」ってときに「みんな死んでしまう!」(2回繰り返す)とマネして言ってた。
あと薫の「直人は病気だよ。心の病。」も「あいつはヤバい」というときにマネして言ってた。
薫「だからさ、どのくらいボクを好きなの?(キスで教えて)」も忘れられない名シーン。女の子同士のキスシーンってなかなか他で見ない。(乃木坂もメンバー同士ですればいいのに)
あの湖には悠と薫しか知らない脱出経路があるのか?
みんな誰でも何度でも生まれ変わればいいさというメッセージを受け取った。回転ずしSNSでやらかした子たちも何度でも生まれ変わればよい。
この映画は後の大女優深津絵里さんを育てた最初の映画。それだけで貴重。(深津絵里さんが独身のまま50歳になっていることはこの世界の不思議。今もすごく若々しくて素敵。)
宮島依里さんもかわいい。たぶん乃木坂にいても違和感ない。
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