2023年7月17日月曜日

連城三紀彦「敗北への凱旋」(1983)

連城三紀彦「敗北への凱旋」(1983)を読む。これは2021年になって創元推理文庫から復刊されたもの。

終戦直後の焦土となった横浜の私娼窟で発見された右腕のない男性の銃撃された遺体が見つかる。目撃証言から犯人は中国人娼婦か?痴情のもつれによる殺人か?中国女はさらに被害者男性と関係のあった日本人女性を殺害した後に、夜の油壷の海に身投げ自殺したものとみれれていた。
被害者男性はゴロツキやくざ関係の男と見られたのだが、どうやら戦前にピアニストから転向し士官学校を経て軍人となり、戦争末期に満洲でソ連軍との戦闘によって戦死したとみられていた寺田武史大尉か?

そして昭和40年代。作家の柚木は「鞘間重毅」という軍人の生涯を描いた本を執筆。映画化という話になる。音楽を担当する海外で活躍する日本人作曲家が寺田の残したピアノ曲の楽譜から映画音楽を創作。この楽譜が実は暗号?

この楽譜暗号がこの小説を推理小説にしてる大きな要素なのだが、自分はそういうのどうでもいい。てっきり「ゼロの焦点」や「飢餓海峡」みたいな戦後ドサクサ人間模様悲劇かと思って読んでいた。

話が壮大すぎた。「黄昏のベルリン」は壮大すぎて許容できたのだが「敗北への凱旋」は自分としてはどうでもよかった。あまりリアルを感じない戦争悲劇人間ドラマだった。
そして連城三紀彦の純文学文芸な文体がこの手のミステリー読者には相いれないのではと感じた。とりあえず自分は立て続けに4冊読んだので、しばらく連城三紀彦から距離を置こうと思う。

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