2023年6月13日火曜日

沢木耕太郎「深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン」(1992)

ずっと読んできてついに最終巻。沢木耕太郎「深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン」(1992)を読む。1995年新潮文庫版で読む。

第16章「ローマの休日 南ヨーロッパⅠ」
ブリンディジからローマを目指そうとするのだが、ローマ行きの長距離バスなど存在しない。イタリアは鉄道王国。誰に聞いても「鉄道で行け!」
街から街へ乗り継いでやっとローマ。そしてフィレンツェ。遺跡や芸術作品を見て歩く。ミケランジェロの天才ぶりに驚嘆。
そして、そこにいる人々と簡単な英語でコミュニケーション。

マカオであれだけ大負けして懲りたはずなのに、またしてもギャンブル熱がぶり返す。一路、モンテカルロを目指す。

貧乏旅行者がスルーするべきモナコにせっかく1泊したのに、身なりが汚くてカジノに入る前に制止させられる。ジャケット着用のドレスコードに引っかかる。「着てるけど?」「それは私たちの国ではジャケットと呼ばない」怒りのあまりそのままモナコを起つ。モナコはイタリアほどには食事も美味しくない。
日本人も欧州では金がないと蔑まれ失笑される。もう日本も外国人にたいしてはお金持ち旅行者だけを相手にして、そうでない外国人は適切に区別すべきだと感じる。

第17章「果ての岬 南ヨーロッパⅡ」
ニースもマルセイユもバルセロナも大して興味を惹かれる見るものもなくスルー。もったいない。
マドリードでも宿代、タクシー代で喧嘩口論。もうそういうの日本の恥だからやめれ!もう代金で揉める話は聴きたくないw

スペインはまだフランコ総統が存命中。蚤の市や古本屋でガルシア・ロルカの本を探す。若い古書店員は1冊あると返答。しかし価格が高くて手が出ない。老人店主の店では「その名前を出してはいけない」とたしなめられる。

バスで国境を越えリスボンへ。さらにサグレスという岬の町までバスでたどり着く。田舎すぎて泊る所も食事をする場所もない。野犬にも怯える。
だが、シーズンオフなのに親切に泊めてくれたペンションがあった。快適だったので食事もワインを開けたり奮発。
リスボンから横浜まで行く貨物船に290ドルで乗れると知り心が揺れる。ユーラシアの西端の岬の風景を見ながら「もうここで旅はゴールかな?」

第18章「飛光よ、飛光よ 終結」
パリでは親切な日本人青年に格安でアパートを譲ってもらい、そしてロンドン。
ロンドンの入国審査がとにかく執拗で別室で何もかもひっくり返して、どこかへ電話して調べられた。
トラファルガー広場の中央郵便局から電報を東京に打とうとしたら「電報は電話局だ」と言われ赤恥。

そして電話にダイヤル回して電文。えっ?!1年2か月に及んだ旅の終りにしては、本に書き上げるのに15年を要したのにしてはあっけない急な幕引き。ロンドンから帰ったんじゃなく、アイスランドへ?

巻末には井上陽水氏との対談。

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