引続き沢木耕太郎「深夜特急3 インド・ネパール」(1986)を1995年新潮文庫版で読む。いよいよインドに突入。
第7章「神の子らの家 インドⅠ」
この第7章が本の半分以上を占めてて長い。
もともと東京-香港-バンコク-デリーという変更不可な航空券を持ってたのだが、インド航空の事務所で強引にカルカッタ行に変更させる。女性窓口事務は絶対ダメ!だったのだが、温和な中年インド人を説得。なんでもダメモトでやってみるもんだなあ。
深夜に空港に着く。さて泊るところどうしようか?と思ってたら、同じ境遇の日本人青年(初めて海外に出た医大生)に話しかけられる。
さらに、日本人青年に話しかけられる。この人がボランティアで何度もカルカッタに来ているらしい。バングラデシュ(独立間もない)を支援してる。遅延したので航空会社がホテルを用意してくれたので一緒に泊まらないか?別に1部屋に何人で泊ろうがこっちの勝手だ。このホテルがビビるくらい一流ホテル。
この現地語を話せる青年は胡散臭いと思ったけど、まったく普通にいい人。それはラッキー。
この日本人がボランティア活動してるのだが、2人をビールでも飲まないかと連れ出す。リキシャで移動。やせ衰えた男に健康な長身日本人3人を引かせるのもちょっと良心が痛む。こいつは本当にボランティアなのか。
だが、ちょっと寄りたい見てもらいたい場所として娼婦宿へ。店の主人が出して来た女が12,3歳にしか見えなくて嫌悪感が込みあがってくる…。
帰り路では乞食の老人に足首をつかまれる。これがインドの現実。社会福祉という概念がない。
行動を共にしてた医大生は、これもたまたま出会った日本人に旨い話を持ち掛けられる。(70年代から日本人の若者はたくさんインドに行ってたんだなあ。)
大量に買い込んだ民族楽器を日本に運ぶのに1人だと「商売用」とみなされるので、人手が必要。航空券代を半分出すからカトマンズ行かない?乗り気になった医大生と別れる。
インドで牛は神聖な動物で食べることがない。ミルクを出さず使い道のない雄牛は路上でやせ細って野良牛?!青草を求めてさ迷う。路上で物を売ってる人々も棒でたたいて追い払う。それは知らなかった。なんと悲しい風景。
日本で見かけるインド人がみな美しく感じられるのは、日本に来ているというまさにそのことによってだけでも明らかなように、彼らが上流の階級に属するため、かなり洗練されているからだろう。そんなことを考えながら、歩いている人を眺めているうちに、奇妙なことに気がついた。皮膚の色が濃くなれば濃くなるほど、身なりがみすぼらしいものになっていくのだ。それは残酷なくらいはっきりしていた。皮膚の色と服装のよしあしとの間にはかなり深い相関関係があるようだった。
という着眼点も初めて目にするものだった。
あとは闇レートのドル・ルピー両替商との駆け引き。高額のドル紙幣のほうがレートがいい? あと、あまりに古いルピー紙幣は受け取ってもらえなくなるらしいので、慎重に見極めてはじく。ボロボロ紙幣はまるでババ抜きのようになっていくらしい。
自分、両替はちゃんと看板出してる街の両替商でしかやったことない。インドではとにかく外人はルピーとの交換を持ち掛けられるそうだ。さらに、偽学生証も偽造。こいつがあるとバスや美術館の料金が安くなるのでヒッピーには必須。まじか。
今もインドの庶民はなんとも言えないギリギリの生活かもしれないが、70年代はたぶんもっとひどい。とても信じられないことばかり書かれてる。ほぼ終戦直後の日本の子どもたちの生活水準。
自分、インドに関する知識はたかのてるこ氏の「ガンジス河でバタフライ」しかない。それ以上の情報量。「深夜特急」と「バタフライ」の間には30年の開きがあるのだが、インドの人々のカーストに関する意識はそれほど変わっていないように思える。
カルカッタに見切りをつけてなんとなく列車でブッダガヤへ。
限られた予算でロンドンを目指すとは言え、自分の感覚からするとリキシャとか物乞いとか車掌と数ルピーで争うな!って思う。
日本寺に無償で宿泊。さらに、不可触民の子どもを育てる支援の共同体。いろいろな人たちとの出会い。
インドはこれほどまでに課題と歪を抱えたまま世界最大人口国になってしまった。日本も他国を心配してる場合でない格差と貧困が今もあるけど。
第8章「雨が私を眠らせる カトマンズからの手紙」
国境の街からカトマンズまで雨とぬかるみで11時間もかかった…というような手紙形式。雨ばかりで体がダルい。インド以上に物価の安い(ドミトリーで1日60円?!チャイは1杯2円?!)カトマンズは西側からのヒッピー青年だらけ。ハシンのやりすぎで死んだ者もいる…。
第9章「死の臭い インドⅡ」
そして聖地ベナレス。死体を焼く煙、川を流れていく何かをついばむカラス。これがガンジス。
お金をごまかしておいてお金を受け取ってないと騒ぐ車夫。最悪。今なら要注意車夫として人相書きがSNSで旅行者の間で拡散するに違いない。今現在の世界におけるロシア人のよう。
日本の若者がぜんぜん海外とか行かなくなった理由は、こういった輩がいるという情報を知ったからかもしれない。日本は値段がちゃんと表示してあって、イチイチ値段交渉しなくてほんとによかった。釣銭ごまかすやつとか人生で3回ぐらいしか出会ってなくてよかった。
ひとり旅貧乏旅行で高熱を出して激しい頭痛とか大ピンチ。そんな朦朧とした状態でデリーへ。
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