2023年6月15日木曜日

筒井康隆「モナドの領域」(2015)

筒井康隆「モナドの領域」(2015 新潮社)を読む。
オビに「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」GODが人類と世界の秘密を語り始めた。とある。どんな内容なのかまるで想像つかない。

河川敷での若い女性の片腕が発見される。さらに公園で片足が見つかる。バラバラ殺人事件のようだ。

街のベーカリー。バイト2人が休みたい。代わりに連れて来た美大彫刻科学生栗本が勝手に片腕パンを作る。こんな趣味の悪いものは売れない。だが、たまたまそのパンを見かけた美大教授が褒め購入しデッサンの授業で使い、新聞コラムで褒め、問い合わせと行列。さらにテレビの取材。
旅行からもどった学生はまたバイトに戻りたいので栗本に辞めて代わってもらいたい。栗本は今度は片足パンを残して去っていく。
刑事はこの奇怪なパンがバラバラ遺体と酷似していることに気づき、栗本を探す。

ベーカリーの常連客だった結野教授の様子がおかしい。目の焦点が定まらずふらふらしてて徘徊老人のようだ。公園ベンチに座り、やってくる人の情報をすべて言い当てる。神様がこの老教授に乗り移ったらしい。美大の女子学生にも講釈。この世のすべてを知り尽くしてる。

神に会いたい人々が公園に押し寄せる。警察が介入しちょっとした事件が起こり教授は取り調べを受け起訴される。そして大法廷。
ここから神を刑事事件の被告人として裁くという展開。この小説のジャンルは何だ?敢えて言うなら「カラマーゾフの兄弟」では?と考えていたらまさしくドストエフスキーと「大審問官」が登場。

あとは…、一体何を読ませられているんだ?という巨匠筒井康隆の神、宗教、人類、宇宙、独演会。
まあ、読んでる最中は面白かった。あんまり他人に説明できない本。

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