2023年5月19日金曜日

岡嶋二人「焦茶色のパステル」(1982)

岡嶋二人「焦茶色のパステル」(1982)を講談社文庫2012年新装版で読む。
この作品が岡嶋二人のデビュー作にして江戸川乱歩賞受賞作

ただ、どう見ても内容が自分と馴染みのない競馬の世界。なんとなく自分とは合わないだろうなと数回スルーしていたのだが、「クラインの壺」が面白過ぎたので作者のデビュー作も読んでおかなくてはと手にとった。

競馬評論家(記者?ライター?)の大友が東北の牧場で射殺されたという事件。牧場長もともに撃たれ死亡。さらに同じ牧場でサラブレッドの母子モンパレットとパステルまでも撃たれて死亡しているのが発見。巻き添えで銃弾を浴びたのか?

大友とは夫婦関係の冷え切った妻香苗が夫の死に疑問を抱いて関係者に話を聴き回る。
なんだか松本清張のような社会派ミステリーサスペンスの様相。
競走馬生産と売買という狭い世界で起こったきな臭い事件。どうやら競走馬の血統と種付けをめぐるトラブル?人は数千万円の金が関わるとなると人を殺す…かもしれない。

結論から言って、やっぱり自分とはあまり合ってなかったように思った。途中からおそらく競走馬の血統と遺伝に関する隠ぺいと陰謀だろうと想像がついた。
自分は白い馬を「芦毛」と呼ぶ…という知識すらなかった。調査する妻香苗とその友人芙美子も競馬素人なので、そのへんの説明はわかりやすくしっかり念を押してくれる。だが、話が展開するにつれ、どうしても競馬常識がないとピンとこなくなっていった。

香苗と芙美子のふたりが牧場に潜入していく箇所は、まるでヒッチコックの「裏窓」みたいに「あ、バカ!」って思ったw よくそんな危ない状況で大胆無謀にずんずん入っていける。
案の定、TRICKの上田と山田が村人に追いかけられるのと似た状況。だが、タクシー運転手が有能だった!w そして相互不信の心理戦。ここはハラハラできた唯一の箇所。

岡嶋二人の著作を全て読まないと気が済まないという人は読むべきだが、「クラインの壺」が大好き!という人にはそれほどオススメもしない。自分、まだディック・フランシスの競馬シリーズも手に取ったことがない。

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