シェイクスピア「オセロー」を福田恆存訳の新潮文庫版(昭和48年)で読む。オセローの最も古い上演記録は1604年だが、それ以前から存在していたことが知られている。おそらく1602年ごろに書かれたものと推定されているらしい。
実はこの本を読むのは15歳のとき以来。高校1年のときに、何か一冊シェイクスピアを読んで読書感想文を書くという宿題があり、必要があったので「オセロー」を選んだ。そのときもこの新潮文庫版だった。
だが、当時の自分は全部を読んでなかった。長い年月を経て、ようやく読み通す。大人の常識として知っておきたい。
ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ「オテロ」を対訳読みながら聴き通したことはある。なのであらすじはだいたい知ってる。オテロ、デズデモーナ、イアーゴーの主要3人の登場人物ははっきりと認識している。
ムーア人の軍人で英雄のオセローが、イアーゴーの奸計によって妻デズデモーナの不貞を信じてしまい殺害するという、痴情のもつれ殺人。最悪な悲劇。
今回読んでみてわかったことがこの話の舞台がヴェニスとサイプラス(キプロス)島だってこと。
デズデモーナ父ブラバンショー議官が娘のオセロー将軍との結婚を認めてないし激怒。娘も勘当。
ヴェルディのオペラはシェイクスピア劇の第2幕の嵐シーンから始まるという事。
イアーゴーはオセローに面従腹背で最初から心の声が邪悪。デズデモーナに懸想するロダリーゴーの恋の悩み相談を聴くのだが、オセローの忠実な部下キャシオーとデズデモーナがデキてるかのように欺く。嫁のエミリアも使って。
イアーゴーがまるで昭和平成の冤罪刑事。偽の証拠を用意し、言ってもいないことを聴いたと告げ口。周到に邪魔な人間を排除するために憎悪の連鎖を仕向ける。
それにしても冷静沈着だった将軍オセローが嫉妬深く短気でバカ。ハンカチトリックで簡単に騙され信じてしまう。デズデモーナが何を言おうと聞く耳持たない。オセローはほぼ桶川事件の小松。四大悲劇と呼ばれるもののひとつだけど、そのわりに新聞三面記事のよう。
それに読んでて調子の狂う古い福田訳。デズデモーナの喋り口調がまるで大正昭和。
キャシオーに惚れたビアンカがやって来るのを見て、「やれやれ、白粉女郎の御入来か」
15歳のとき10ページほど読んで中断していた「オセロー」を、令和の今になってやっと読み通した。それにしてもこのセリフ量を暗記できる舞台俳優は人間業でない。
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