綾辻行人「暗闇の囁き」(1989)を読む。「囁き」シリーズの第2弾。この作品の初出は1989年祥伝社ノンノベルだったのだが1998年に講談社文庫化。今回自分が読んだものは2021年の新装改訂版。活字が大きい。1ページあたりの文字数が少ない。読みやすい。
なにやら恐ろしげな断片的シーンがいくつか提示。そして、山奥の湖畔の洋館。そこに住む美しい少年がふたり。この子たちは兄弟?
そこにある叔父の別荘に、卒論を書くために籠るためビークルでやってきた東京の有名大学4年生悠木拓也。子どもたちが突然飛び出してきて急ブレーキ。転んでひざを擦りむいた兄弟を乗せ、兄弟の住む洋館へ。
父がいきなり子どもたちを平手打ち。え、何この一家?
厳格すぎる父円城寺隼雄、そして窓の外を感情ゼロでぼーっと見てるだけの喋れない妻。その子ども実矢と麻堵。父の母はちょっと認知症?あとは使用人夫妻。父の妹雅代。雅代の不良息子克之。
そして看護科学生が子どもたちの家庭教師として夏休みバイトに来ている滝川遥香。この子が小麦色の肌にショートカットでカワイイ。拓也はちょっと恋。
だが、遥香の前任バイトがこの洋館のある森の林道で不審死。なぜか髪を切られていた。遥香はその秘密を探るつもりでこの洋館に来ていた。
拓也は子どもたちが「あっちゃん」という誰かわからない友だちと遊んでいるらしいことを知る。だがそんな子は近辺にいない。そして遥香は洋館に知らない誰かがもうひとりいることに気づく。
そして克之が崖下に転落し大量の血痕を残して消えてしまう。さらに雅代もバルコニーから転落死。遺体からそれぞれ眼球、爪が持ち去られる。これはやはり「あっちゃん」とかいう子がどこかにいる?
そして拓也は10年前、この湖畔であった出来事を思い出す。そして…。
ああ、これはとても面白かった。ジャンル的にサスペンスホラー。その真相は十分に驚けるものだった。
「緋色」も面白かったけど、「暗闇」もさらに面白い。文体が平易でさくさくページがめくれる。たぶん中学生でも十分に楽しめる。そして飽きさせない。オススメ。
0 件のコメント:
コメントを投稿