岡嶋二人「チョコレートゲーム」(1985)を1988年講談社文庫版(1996年19刷)で読む。
岡嶋二人は井上泉と徳山諄一の2人によるコンビペンネーム。推理小説作家として有名なのだが自分は初めて読む。
今も版を重ね新装版が発売中。1982年に長編作デビュー。1989年にコンビ解消。2021年11月に徳山氏が死去。
初めて読むのがこれでいいのかわからないのだが、この「チョコレートゲーム」は第39回日本推理作家協会賞長編賞受賞作(1985)だという。
作家の近内は在宅で仕事をしてるのだが、中三の息子省吾は妻に任せきりでほとんど会話がない。ここ二週間学校に行ってないらしい。どこかへ出かけたり部屋に籠ったり。話をしようとしても「うるせえ」と反抗的。部屋にはなぜか中学生の小遣いでは買えそうもないパソコン。妻によれば財布からお金を抜き取ってるらしい。そして省吾のカラダが痣だらけなことも発見。
そして省吾の通う名門秋川学園大付属中学3年A組の生徒貫井が全身打撲傷だらけの死体となって発見という新聞記事を見つける。
学校へ行き担任に話を聴くと、死んだ生徒は優秀。だが、最近になって教室が荒れはじめ、欠席や遅刻をする生徒が増え始めてる。
近内は数人の生徒に話を聴こうとするのだが警戒され口をつぐむ。省吾と仲の良かった生徒も反抗的で話にならない。
そして学校で親と教師が話し合いのその時、他の生徒浅沼も教室で死体となって発見。省吾が持っていたラジカセを使った犯行トリック?
息子が疑われてると考えた近内は省吾が仲良くしていたという坂部逸子(母子家庭)に必死で尋ねる。貫井が殺された日のアリバイを証言してほしい。その日に省吾の居場所を探して坂部家に電話したとき、電話口で省吾の声が聴こえたような気がしたのだから。
近内には省吾はその日坂部家にいたと証言したのだが、後に撤回。近内は気位の高い逸子の母が言わせたんだと確信。
省吾は給水塔から飛び降り自殺。さらに、貫井が脅し取られていた200万円の大金の半分が省吾のポケットから見つかった。しかも省吾は友人にアリバイ偽証も頼んでいた。もう警察に犯人と断定されている…。
父は息子の冤罪無実と真相を知るべく孤独な聴きこみ捜査。先生や生徒、保護者達からも迷惑がられ怒鳴られ、そしてたどり着いた「中学生がそんなバカな?!」という真相。
「チョコレートゲーム」とは何か?「ジャックのせい」とは一体どんな意味が?
わりとトリックがシンプル。今の若者はもうカセットテープというものに馴染みがないためにこのトリックはピンとこないかもしれない。
当時はケータイもない。家の黒電話で相手を呼び出すスタイルもすでに遠い昔。
だが、ストーリーはわりとしっかり納得がいく出来になってた。それほど古さを感じなかった。
あと、この文庫版の表紙は若干ネタバレになっている。
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