まだ見たことのなかった「クリスタル殺人事件 The Mirror Crack'd」(1980)
を見た。2月にBS日テレで放送されたので録画しておいた。
アガサ・クリスティーの長篇「鏡は横にひび割れて」(The Mirror Crack'd from Side to Side, 1962)を原作とする英国田舎屋敷ミステリー映画。
監督はガイ・ハミルトン、脚本はジョナサン・ヘイルズおよびバリー・サンドラー。
70年代になってアガサ・クリスティーのミステリー小説が次々と映画化されていた時代のもの。コロンビア ピクチャーズ/ワーナー・ブラザースの映画。制作はEMI。
アンジェラ・ランズベリーが主演。探偵にあたる老嬢ミス・マープルを演じてる。この女優は「ナイル殺人事件」にも出てた。
1953年が舞台になってる。村の映画上映会の途中、名探偵が犯人を指摘するというそのときに映写機トラブル。犯人がわからないなんてモヤモヤ。ミス・マープルは得意げに犯人を指摘して途中で立ち去る。え、マープル婆さんってこんなキャラだっけ?
1953年のセント・メアリ・ミード村。往年の大女優マリーナ・クレッグ(エリザベス・テイラー)が久しぶりに映画に復帰するというのでにぎわう。夫のラッド氏がロック・ハドソン。撮影隊が村のゴシントン荘に長期滞在し映画撮影するらしい。
監督ラッドとマリーナ夫妻の秘書エラはジェラルディン・チャップリン。この女優はあのチャップリンの娘。
村をあげての盛大な交歓パーティー。これが英国田舎の村祭りか。運動会みたいなゲーム大会も兼ねてるのか。
ミス・マープルは犬のリードに足をすくわれ転倒。やむなく帰宅。
映画プロデューサーのブルースター(トニー・カーチス)がグラマー女優ローラ(キム・ノヴァク)を派手に連れてやってきて周囲はざわざわ。この女優はヒッチコック監督の「めまい」に出てた人だ。マリーナとローラは犬猿の仲。バチバチにやりあう。
そして戦時中にマリーナの慰問公演を見て感動したというヘザー・バブコックさん(おしゃべりファン)が急死。
パーティーで給仕手伝いをしていたマープル家の家政婦娘チェリーがマープルさんにそのときの状況を語って聴かせる。
バブコックさんはマリーナに一方的に退屈な思い出話を喋り倒してた。その時マリーナは階段の聖母子像を見つめて「凍りついて」いた。
バブコックさんの死因はカクテルに混入された毒物。その毒入りのカクテルはマリーナが飲むはずだったのだが、バブコックさんが直前でこぼしてしまって交換していた。
マープルさんの甥でスコットランドヤードの警部クラドックはエドワード・フォックス。こうやってマープル婆さんは捜査はしないのに事件の情報を得ていく。
マリーナは鬱病だった。熱望してやっと生まれた子は障害を持っていた。以後女優の仕事をしてなかった。やっと映画の世界に復帰。
撮影の休憩中にヒステリー。コーヒーに毒が入ってると騒ぐ。脅迫もされて精神状態が悪化してるようだ。さらに助手エラ(花粉症)も毒殺され…。
劇中の相手役(チョイ役)がなんとピアース・ブロスナンだ。後の007ジェームス・ボンド俳優だ。
金と欲のドライな動機が多いクリスティ作品の中で、こいつだけは動機が忘れられない作品。だが、魅力を感じるのはその一点のみ。
映画としてはめちゃくちゃ地味な映画。舞台作品かテレビ映画でいいような会話劇。マープル婆さんがそれに気づいた瞬間すら劇的に見せてくれない。気づいたら事態が判明してました…と視聴者は知らされるのみ。
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