2023年4月16日日曜日

サガン「ボルジア家の黄金の血」(1977)

フランソワーズ・サガン「ボルジア家の黄金の血 Le Sang doré des Borgia」(1977)を読む。鷲見洋一訳1986年新潮文庫で読む。

15世紀末イタリア、王になる野心を抱いたチェーザレ・ボルジアの愛欲、権謀術数、妹ルクレツィアとの背徳の愛と死を描いた小説。フランス国営チャンネル2のテレビドラマ用脚本として書かれたものを小説化したもの。

塩野七生の「優雅なる冷酷」とはかぶらない違うシーンが描かれてる。あたりまえだが塩野が選択して注目したチェーザレとサガンのチェーザレはかなり違う。どちらかというと父アレッサンドロを中心とする家族の会話シーンが多い。
サガンのチェーザレは残虐で腐敗したボルジア家の人々のドラマを描いてる。だまし討ち暗殺、政治。
チェーザレとルクレツィアは実の兄と妹なのに恋人だったの?!

チェーザレ・ボルジアという人を知るには塩野七生のほうが歴史のお勉強としては理解しやすいが、サガンのこの作品も読んでおいて損はない。
ただやはりフランス人がフランス人のために書いた本なので、塩野版よりはわかりずらいと感じた。フランスとイタリア、スペイン、ローマ教皇についての世界史知識がないとちんぷんかんぷんだと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿