集英社新書0940D「テンプル騎士団」佐藤賢一(2018)を読む。佐藤賢一せんせいの本なので読む。
最近になって中世ヨーロッパのことが少しずつイメージできるようになってきた。こういった本のおかげ。
この団体に所属するテンプル騎士団パリ本部のジャック・ド・モレー以下138名が、1307年10月13日、フランス国王フィリップ4世よって一斉に逮捕され、幹部以下多くがが異端であるとされ火刑に処された事件が発生。
そもそもテンプル騎士団とは何だったのか?
テンプル騎士団とは十字軍によって奪還されたエルサレムへの巡礼者を保護警備するために、1119年から1120年にかけて、ユーグ・ド・パイヤンら修道請願を立てた騎士9人から設立された団体。
テンプル騎士団をスターウォーズのジェダイに例えて説明するのは人気作家ならではだが、自分、スターウォーズを一作も見てなくてかえってわからなかったw
この本では、宗教的熱狂にかられ200年も続けらた十字軍の混乱とぐだぐだを前半半分かけて解説。
西欧的な封建制度は日本の御恩奉公と違ってかなりドライな契約。40日の契約が終われば領地に帰っていくし、明日からは他の主君の為に戦う。
イスラムという強敵に対しても戦略もなくバラバラに戦う。家名を高めるために勝手な抜け駆け。これでは勝てる戦いも勝てない。その結果、200年経っても混乱の極み。
200年の間にテンプル騎士団は巨大な国際銀行のようになっていた。清貧の修道士で騎士のボランティア活動がいつのまにかカネカネカネ!
中世の王様の仕事は征服戦争だったのだが、テンプル騎士団の金庫から金を借りなければ戦争ができない。
イングランド国王ジョンが家臣の身代金をフランス国王フィリップ2世に支払ったときもロンドンのテンプルに入金しパリのテンプルから支払い。それは帳簿のやりとり。
アナーニ事件を起こしてもはや誰も対抗できないフィリップ4世が強大な権力を持つ時代になると、テンプル騎士団がもはや邪魔になる。
法律顧問ギョーム・ド・ノガレらを使ってテンプル騎士団を一斉逮捕。財産を押収。
有名なトリノ聖骸布ってジャック・ド・モレーがキプロスから運び込んだものだったの?!
逮捕者たちは苛烈な自白強要拷問で命を落とす者が多かった。1310年5月12日パリ城外のサン・タントワーヌ僧院近くの野原で54人のテンプル騎士たちが火刑により処刑。
長期裁判の末に1312年3月13日、モレーとノルマンディ管区長シャルネイのふたりは自白を取り消した罪(カトリックでは一度自白したことを取り消すのは再堕落といってさらに重い罪?!)によって、シテ島西端(今日のポン・ヌフあたり)に火刑台が設置され処刑。パリは怖い。
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