東野圭吾「同級生」(1996)を読む。講談社文庫版(2013年56刷!)で初期東野圭吾をどんどん読む。
修文館高校高校3年生の西原くん(野球部キャプテン)が登校してみたら、二組の宮前由希子が交通事故死したらしい話題でもちきり。道に飛び出してきてトラックに轢かれたらしい。
実はその少女が妊娠していたことが伝わるのだが、「お腹の子の父親はたぶん自分…。」
西原と由希子は一夜をホテルで過ごしたことがあった。
自分が父親なことも噂になってる。西原くんは少しずつ情報収集していく。噂話の発信源を探る。
どうやら事故現場で、生徒たちに生活指導で厳しく当たる古文教師の御崎藤江が目撃されていた。宮前が妊娠したという噂を聞きつけて、産婦人科を見張っていたらしい。この執拗な教師から逃れようとして宮前は交通事故に遭った?
高校教師がそんな場所にまで介入することに西原くんは反発。授業の前にクラスメートの前に真偽と責任を公開質問。だが、御崎は怒り心頭の様子で答えようとしない。
そして御崎は教室で絞殺死体となって発見される。となると、由希子が死んだことで御崎を怨んでいた西原くんは容疑者になる。刑事から由希子との関係やアリバイを調べられる。
やがてふたりの秘密を知る水村緋絽子が教室で睡眠薬を飲みガス自殺を図る。
登場人物がほぼ高校生たちだけという学園青春ミステリー。主人公が高校生にしてはやはりスカしてる。高校生なのに女子生徒と肉体関係を持ったせいでこんな事件に巻き込まれてるのにすごく頭脳明晰。
最後の方になって刑事と西原の会話でとつぜんストーリーの構造が変化したように見える。
え、悲劇のヒロインのはずの由希子が舞台の中心から退場させられ唖然。これは浮かばれないヒロインだ。
青春ミステリーに物理トリックは必要ない。ひねくれた自殺者を登場させるのも構造上美しくない。ストーリーと動機にもそれほど納得できず、やや期待外れ。あとがきで東野氏も「とても苦労した」と心情を吐露。
「小学生の時から教師が大嫌いだった」という告白はすごくよくわかる。自分も今も恨んでる教師が小中高大それぞれに何人もいる。
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