2023年3月19日日曜日

ハインライン「ダブル・スター」(1956)

ロバート・A・ハインライン「ダブル・スター」(1956)を森下弓子訳1994年創元SF文庫版で読む。ヒューゴー賞を受賞した「太陽系帝国の危機」を改題したもの。
DOUBLE STAR by Rober A. Heinlein 1956
形態模写芸人俳優ロレンゾ・スマイズは酒場で飲んでると、そこに一目でスペースマンだとわかる男がやってくる。話をするとスペースマンのダク・ブロードベントから仕事の依頼。ロレンゾが吹っ掛けた金額を即受けいれるとか、急を要する仕事か?

ホテルでゆっくり交渉しようと思ったら敵からの襲撃。急いで逃げようとしたらロレンゾは準備もないまま火星へ連れていかれる。ロレンゾに与えられた仕事は誘拐された太陽系帝国のボンフォート元首相(野党党首)の替え玉。なんか、展開が黒澤明「影武者」みたい。
ロレンゾは必死でボンフォートの動きと喋りを習得。言語も習得。

50年代のSF作品は地球人類が火星人と一緒に太陽系帝国を形成したいるような数千年未来でもケータイスマホは想像の範囲になかったようだ。この作品でも急な連絡はバーのマスターから呼び出されブースで応答。
あと、主人公ロレンゾは火星人とその体臭に恐怖と嫌悪感を抱いている。それでは仕事がままならない。その対処法が催眠術で笑った。火星人の体臭が香水の匂いに感じるように暗示。

中盤でボンフォートは廃人同然で発見。ロレンゾは首相就任。そして皇帝に拝謁。どうするどうなる?
共和制アメリカ合衆国に生れたハインラインの描く立憲君主制国家の政治劇。読んでいてあまりSF作品を感じないかもしれない。

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