2023年2月13日月曜日

真珠の耳飾りの少女(2003)

「真珠の耳飾りの少女」(2003)を今になってやっと見る。原題はGirl with a Pearl Earringなので邦題とほぼ同じ。ヨハネス・フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」を題材にトレイシー・シュヴァリエが書き上げた同名小説を映画化。

主演はスカーレット・ヨハンソン。監督はピーター・ウェーバー。脚本はオリヴィア・ヘトリード。日本では2004年に公開。配給はGAGA。
スカーレット・ヨハンソンが主演なことは知っていたのだが、画家ヨハネス・フェルメール役がコリン・ファースだったとは、見ようと思ったそのときまで知らなかった。

1665年のオランダ、デルフトの街。タイル絵師の父(失明してる)を持つグリート(スカーレット・ヨハンソン)は玉ねぎやキャベツを切り何かスープ料理か何かを仕込んでる。
この少女の顔が陶器のように病的に真っ白。眉毛が薄い。ほとんど笑顔もなく不気味。この時代の人はそうだったのかも。
鍋に野菜を配置する仕方が何か美的センス高い。この少女が美術的感性が高いことを示すシーンかもしれない。

母に呼び止められ画家のフェルメール(コリン・ファース)家の女中働きに出される。
この時代のオランダはてっきりプロテスタントかと思ってたのだが、フェルメールの家はカトリック。祈りの声が聴こえても耳をふさいで聴くなと指示。

でっぷり太った女中頭から簡単すぎる手短な仕事の説明。寝床も指示される。主人は画家だと知らされる。
フェルメール夫人(エッシー・デイヴィス)がかなり感じ悪い。女中に親切にしたら負けだとでも思ってるのか。
夫人からアトリエの掃除を命じられる。そこにはフェルメールの名画。少女グリートは画に感銘を受ける。

フェルメールの絵はなかなか完成せず売れず家計は火の車。フェルメール家の隣家が破産。「夫人が不機嫌になるわ。」その家では6人目の子どもが生まれる。
出産祝いと絵の完成祝いの招待状を雇い主ファン・ライフェン氏に届ける。運河を小舟で行く。「豪勢な料理じゃないと行かないぞ」

この映画、見る前になんとなく予想はしていたのだが、今まで見たこともない17世紀デルフトの街の人々の風俗画のような映画。ああ、フェルメールの時代はこんな感じだったのか。この映画を撮るにはすごく研究が必要だったに違いない。

「真珠の耳飾りの女」のお披露目。ファン・ライフェン氏は褒めてはくれたが、次の仕事の依頼はくれなかった。

「光の加減が変わるけど窓を拭いていい?」と問う。夫人とその母は怪訝な顔。
窓を拭いてる姿をフェルメールに見られる。驚いて作業を止めるがフェルメールは何かを感じ取ったらしい。グリートにポーズをさせる。
主人フェルメールの部屋にはカメラ・オブスクラ。「見てごらん」少女はハッと息を飲む。なぜ箱の中に絵が?!それはレンズを通して見た部屋。

この家の女はもれなく性格悪いが子ども(コルネーリア)も性格悪い。腹いせに洗濯物を汚しグリートの部屋を汚して父のタイルを破壊。
フェルメールはグリートに絵の感想を求める。グリートの観察眼の確かさを知る。そして絵具の調合の秘密を教え始める。絵の助手のような仕事をさせる。「そんな時間はない」「時間をつくれ」

雪の中をこどもの薬と絵具材料のお使いに出される。17世紀のオランダの冬はかなり寒そう。運河も洗濯ものもカチカチに凍る。
この家は子どものために乳母を住まわせてるのだが、乳母は食べ過ぎると女中から不満。乳母を地下で寝かせて、グリートは屋根裏にとフェルメールは指示。夫人はまたしても妊娠。
グリートは肉屋の息子といい関係。だんだんとラブラブ。

描きかけの絵の構図が悪いと考えたグリートの考えを的確に理解したフェルメール。グリートに一目置いている。
コルネーリアが夫人の鼈甲の櫛を盗んだ疑いをかけるのだが、グリートを理解するフェルメールはコルネーリアの寝床から櫛を発見。いい気味。
だが夫人は夫が屋根裏部屋にふたりで籠っていることに疑いの目。

子どもが増えて家計が困窮した母はライフェン氏を接待招待。集団肖像画のような仕事はない。愛らしい娘の絵を描くよう提案。フェルメールがグリートの肖像画を描くことは街の噂。ラブラブだった肉屋の息子からも「使用人はつらいな。だが深入りするな」と忠告。

この時代は女使用人が頭巾を取って男性に髪を見せることはしてはいけないこと?
耳飾りをつけさせるためにピアス穴を火であぶった錐で開けられる。モデル少女にいいことはなにもない。モデルはつらいよ。

お金が必要な母は理解してる。夫人の留守中に夫人の耳飾りを貸し出す。それをコルネーリアは見ていた。
ヒステリックな夫人はアトリエに押し入り、自分の耳飾りをつけたグリートの肖像画を見てしまう。世にも怖ろしい事態。この夫人が世にも無様で醜い。
原因をつくったライフェンと母とフェルメールは責任とれ。夫人のいる場所でグリートをちらちら見るな。
カネほしさに名画が誕生?グリートも別の奉公先がなかったのか?

室内、衣服、構図、色合い。この映画はフェルメールの絵画そのもの世界。

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