2023年2月14日火曜日

ナチスの愛したフェルメール(2016)

フェルメールの贋作を描いてナチスNO.2のヘルマン・ゲーリングに売りつけた稀代の天才贋作画家ハン・ファン・メーヘレンを描いたオランダ・ベルギー・ルクセンブルク合作映画「ナチスの愛したフェルメール」(2016)をやっと見る。

英語タイトルは「A Real Vermeer」 (オランダ語では Een echte Vermeer) 。監督脚本はルドルフ・ヴァン・デン・ベルグ。
オランダ・ベルギー圏のローカル色のある映画。それほど国際的に有名な俳優は出ていないのでそれほど見られてもいないが、メーヘレン事件に関心のある人はたいてい見てるっぽい。

ドイツが降伏して間もない1945年5月29日オランダ・、画家メーヘレン(ジェローン・スピッツェンバーガー)が、ナチス国家元帥ゲーリングにオランダの至宝であるフェルメールの絵画を売った罪で逮捕された。(ヒトラーが総統地下壕で自殺したのが4月30日、ドイツ降伏が5月7日)

フェルメールの絵画をナイフで切りつける幻覚シーン、収監されてる初老の男。というシーンから始まる。そして弁護人のいないまま裁判開始。
ナチス協力者及びオランダ文化財略奪者は国家への反逆で重罪。銃殺刑の恐れもある。
長期の懲役刑を求刑されたメーヘレンは、「全て自分が描いた贋作だ」と誰も信じない驚きの告白に転じる。

1920年代、若きメーヘレンの絵はそれなりに評価もされていたのだが、自身の作品が古典派の画風の継承にすぎないと批判されていた。時代はピカソのような斬新な絵が求められていた。自分に無力を感じるメーヘレン。若い頃から相当な量の酒と煙草。

芸術を愛好するブレディウス夫人に酒場での集まりで絵のモデルになるようお願いをする。テーブルクロスにささっとピカソのような絵を描きピカソと署名。こんなものはタダでも要らないと暖炉に焼き捨てる。
メーヘレンは婦人がた相手に絵画教室をやって糊口をしのぐ。そこにブレディウス夫人もやってくる。たぶん相当にお金持ち。

評論家ブレディウスの酷評のせいで不幸になる。妻とも息子とも離れ離れ。イタリアを放浪。絵も描かなくなる。
そこにブレディウス夫人。もともとはハンガリーからやって来たヨーランカ。不倫関係。

だが、自分が描いた贋作を本物として流通させて批評家たちを見返してやろうという復讐に闘志を燃やすようになる。ハルスの絵画修復を依頼され経験を積み実力を発揮。フェノール樹脂は熱で固まりアルコールテストにも耐える。独自に編み出した創意と工夫。ローマの蚤の市で手に入れた古いだけの絵を切り取り画材に転用。

女王陛下御臨席のお披露目で「エマオの食事」を切り裂いて恥をかかせるつもりだった?
オランダがドイツに占領されるとヘルマン・ゲーリングの目にとまる。もしバレたら危険すぎる。しかし画商テオの言葉をゲーリングは信じてしまう。

裁判で極刑が下されるかもしれないというそのとき、「絵を描かせてくれ」。
描いた絵でブレディウスを納得させるつもりが信じない。「エマオの食事」X線撮影で下絵が出て来た。その絵は15年前の絵だった。よってゲーリングに売った絵はメーヘレンが描いたものと判明。多くのフェルメール作品がメーヘレンによるものだと判明。
民衆は掌を返す。メーヘレンはナチスを騙した英雄。検事は赤っ恥。早く謝れ。

しかし詐欺罪は成立。禁固刑と自身の絵をフェルメールと称して売った差額の返却命令。

この映画は事前にメーヘレン事件の予備知識があったほうがわかりやすいかもしれない。自分としては肝心の裁判シーンが少ないように感じた。お色気シーンを盛ったテレビ映画のように感じた。実際の事実と違うことも多いだろうが、これを見たことでメーヘレン事件ってこんな感じだったんだと知ることができた。

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