2023年1月9日月曜日

1944 独ソ・エストニア戦線(2015)

「1944 独ソ・エストニア戦線」を見る。原題は「1944」。2015年公開のエストニア戦争映画。監督はエルモ・ニュカネン。ほぼ全編エストニア語。たまにロシア語。

エストニアでは多くの人に見られ高く評価されたものらしい。エストニア国民が共有する1944年にあったできごとドラマ。エストニアについて知るためにお勉強のために見る。ドイツとフィンランドでも公開。おそらく日本では劇場公開されていない。

1939年、ソ連とドイツは不可侵条約を締結。そして第二次大戦。1940年にソ連はエストニアを併合。その翌年ドイツが占領。支配者が変わるたびにエストニア国民は両国軍に動員。そしてソ連赤軍が迫りつつある。

1944年7月25日のタンネンベルク線の戦いの砲弾が爆裂する塹壕の司令部。家族をシベリアに送られたエストニア人たちはソ連と戦う。銃を撃つたびにウラー!と突進してくるソ連兵が倒れる。兵士たちは隠れる物陰すらない。
1回の攻撃で人が死に過ぎ。まるで203高地の繰り返し。地獄の独ソ戦。塹壕で撃ち合って陣地の奪い合い。エストニア人だけでなくデンマーク人義勇兵もいるのか。みんな若者たち。

ドイツ武装親衛隊第20SS武装擲弾兵師団に属するエストニア人部隊の現場にやってくる役人がヒトラーの写真を配って「ハイル、ヒトラー!」とやるのだが、エストニア人はそれには応じない。そりゃそうだ。ヒトラーはエストニア人たちの総統じゃない。

ついさっきまで陽気にふざけあってた仲間が頭打ちぬかれて即死するほどの激戦。ドイツ軍の退却が決定。エストニア人は独ソに別れて動員されている。ドイツへ行くか、その場に残るか。ドイツに向かうエストニア人たちを導く兵士が老人だし私服。
私財を積んで馬車で移動する男を立ちはだかるおばさんが罵倒し降ろす。子どもを乗せよう。だがそこにソ連機が機銃掃射。老人こどもにも容赦なく撃って来る。

兵士たちは指定の場所にいくけどまったく隠れる場所がないので塹壕を掘る。こんな場所でどうやって防御を?
敵がソビエト赤軍第8エストニア狙撃師団。同胞たちが銃撃し合う。その悲劇を戦場の兵士たちがわかってる。双方撃ちたくない。
撃たないと内務人民委員会に報告される。いったいどうすれば?
ここで前半の主人公だと思ってたカールが戦死。狙撃した側である赤軍のユリーがカール(両親をソ連に連行された)の姉に手紙を届ける。良心の呵責。しかもそこに反ソ分子摘発にやってきた上司。

11月、サーレマー島。今度は赤軍のユリーが主人公。ソ連側はドイツの捕虜になったものは裏切り者として子どもも処刑するような人非人。(独ソ戦は降伏した相手はその場で殺してた)
外は赤でも中身は白。そいういうやつも許さない。政治局員ってほんとじゃま。

戦争映画だが残酷なシーンは少なめ。だが、小国エストニアの人々のたどった過酷な運命があまりに残酷。ナチよりもソ連の悪魔ぶりを強調した映画。
地獄を経験してやっと手に入れた平和を今になってぶち壊すロシア人はやっぱりアホだし邪悪。あと、地雷って酷い。

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