オースティン「自負と偏見」(1813)を小山太一訳2014年新潮文庫版で読む。いつのまにか新潮文庫が新訳になっていた。
Pride and Prejudice by Jane Austen 1813
ジェイン・オースティン(1775-1817)はイングランド・ハンプシャー州スティーブントンの牧師家庭に生まれた女流作家。生きた時代がまるまるジョージ3世時代のイギリス。
そんな時代の恋愛と風俗を描いた小説として興味深い。
独身ハンサム資産家男(金利が毎月どんどん入ってくるブルジョア)が田舎町ロングボーンの屋敷に引っ越してきたことで、ベネット家の娘たちに起こるドラマ。
主人公ヒロインはたぶんベネット家の次女エリザベス。たぶんこの子が一番頭がよくていろんなことが見えている。長女ジェインが一番の美人。この二人が結婚適齢期。
この小説をざっくり説明すると、ジェインとエリザベス、結婚への道。
田舎町の地主階級たちの退屈な日々。することと言ったら本を読むか教会に行くか。そんな地域に若くてハンサムでお金も持ってる独身男ビングリーがやってくれば、年頃の娘を持つ親たちはおだやかでいられない。噂話をすることと娘を片付けることが親の関心事。なんとか娘を金持ちと結婚させたい。
読む前になんとなく予想していたほどは面白くなかった。それほどラブコメ要素がない。
「自負と偏見」という、物語の内容を想像しがたい、なにか哲学的で高尚なタイトルがついているけど、そこは田舎町の上流階級たちの退屈な毎日。家族間の会話、近所の会話、パーティー会話が延々と続く。
たしかに、登場する人々は田舎の上流階級なので、プライド高く虚栄心もあってめんどくさい。他人を偏見に満ちた噂話ばかりしてる。
しかし、エリザベスもビングリーの友人ダーシーを毛嫌いするなど気が強いことは確かだが、現代の我々が見れば十分に淑女。ぜんぜんじゃじゃ馬じゃないし、おてんば娘でもない。
ダーシーが気難しく気位が高くいつもむっつりしてるというだけで、人々から嫌われるとか、意味が解らない。第一印象が最悪だとしても、影で悪口言われまくり。毛嫌いされまくりとか可哀想。
エリザベスはコリンズ氏(ベネット家が住む屋敷の継嗣相続人)からの求婚を断って母を不機嫌にさせるし、ダーシーの悩んだ末の愛の告白にも冷淡な対応。
妹リディアとウィカム(エリザベスがダーシーに偏見を抱く噂話を広めた元凶)の駆け落ち騒動以降、やっと物語が動き出した感がして面白くなってきた。エリザベスのダーシーへの見方が変わる。
面白かったか?自分としては微妙。結婚適齢期女性から男たちを値踏み批評してるので、女性読者のほうが楽しめるかもしれない。
ジェイン・オースティンの生きた時代はアメリカ独立戦争、フランス革命、ナポレオン戦争という激動の時代だったのだが、そういった歴史的事件にふれるような会話は一切小説中に登場しない。
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